AIの進化でセールスは変わるか
▶︎ AIに代替されるもの、されないもの
depcoa / 水野 :よく聞かれるかもしれませんが、AIについてです。セールスの仕事のなかで、AIによる代替は進んでいくと思いますか?
GCP X / 水野 :クライアントリサーチのようなオペレーションの部分は代替の可能性があると思います。ただ、絶対に変わらないところとしては、人間関係構築能力だったり、商談の過程で一歩踏み込む部分だったり、そういう部分はあと10年くらいは変わらないだろうと考えています。
リサーチや資料作成については、いろんなツールが出てきているので、自分のスキルを広げるという意味でも、ツールを使いこなすことは絶対に必要だと思います。ゆくゆくは意思決定までAIが関与する未来が来ると思いますが、まだ先だと思うんです。どのクライアントにどうやってアプローチするかの意思決定を、人間の感情を超えてAIが行なう未来というのは、まだあまりイメージできないというのが個人的な意見ですね。AIの動きが加速化しているので未来は読みづらいですが•••。
▶︎ 人間だからこそ担える役割
GCP X / 阿部 :私は、AIに代替されないもののひとつに「イシューの特定」があるかと思います。本質的に困っていることと、顧客が言葉にする「困ってること」って、実際は多少の差があると思うんです。やり取りの中から本質的な課題を見つけることは、まだ人間の役割だと思います。
最近、40代半ばくらいの候補者の方と話をしていたのですが、こんなことをおっしゃっていました。「僕が扱っているプロダクトは、イシューが明確です。たとえば人事部のお客様にHR系のSaaSプロダクトを売っています。お客様は煩雑な業務に困っていて、価格もリーズナブルなので売れます。こういう営業なら僕はできます。でも、そもそもお客様が何に困っているのかがわからない。このプロダクトを使えばお客様がどのように変わるかも、うまく伝えられない。そういうプロダクトを売るスキルは僕にはありません。だから、次はそのスキルを伸ばしたいと思っています。クライアントの意思決定に関わることなので」。
この話を聞いて、この方はとても客観性に優れていると思いました。そして、テクノロジーがすごい勢いで進化していますが、顧客の本質的な課題を見極める部分は、まだまだ人間の役割として残っていくと思います。
depcoa / 水野 :相手の目線で考えてみることで、相手が気づいていないことにも気づくというか。そういう感じですよね。
GCP X / 阿部 :そうですね。お問い合わせフォームに「困っています」と通知がきたので、「このHRサービスはいかがでしょうか?月額3,000円になります」みたいなやり取りは自動化されていくと思いますが、潜在的な課題をさぐる部分はまだAIには難しいと思っています。
顧客の事業成長のための課題を紐解ける課題解決能力だったり、コンサルティング能力だったり、そういったスキルはまだまだ求められると思います。
depcoa / 水野 :仮説を立ててみることも想像力だと思うので、やはり対象に向けて想像力を働かせることが大事なんだとお話を聞いて思いました。先ほどの右から左へオペレーションを進めていくことも大切なスキルだと思いますが、「個」としての力や価値は想像力にある気がします。スタートアップに入ると自分で色々やらなきゃいけない部分が多いので、そういう意味では想像力を鍛えられる環境だと言えるかもしれませんね。
▶︎ 将来のために、いまやっておくべきこと
depcoa / 水野 :セールスとして「こういう経験が将来的に役に立つ」みたいなものはあるでしょうか?
GCP X / 水野 :自分のことを例に出すと、若いころから経営に関する感度を高めておくことは将来プラスになると思います。
社会人になったばかりのときに、所属していた部署の方針で経営に関連する本をたくさん読まされたんです。3CとかPESTとか、有名なビジネスフレームワークはそのときに学んだのですが、営業先の企業や業界を3CやPESTで分析するようにしていました。営業先がどのような環境に置かれているかを常に考えるようになったので、提案に興味を持っていただきやすく、成果が出やすくなったと思います。
キャリアアップについて考えたときに、キャリアのゴールの具体例のひとつは経営レイヤーに入ることだと思います。そうした場合、将来的に経営レイヤーに到達するために、若いころから経営レイヤーがどういう観点で事業や組織を見ているのかを学んでおくことは、決して損にはならないと思います。
GCP X / 阿部 :客観的に自分を見るクセをつけておくこともおすすめしたいですね。中学のときはクラスで1位だったけど、進学校の高校に入ったら30位くらいになっちゃうこととかあるじゃないですか。これってまさにマーケットの話だと思うんです。
いまの環境で満足していたら、変なプライドや居心地の良さが生まれて、そこから変わることは難しいと思います。だから、外の環境も含めた広い世界の中で自分を見ることができれば、新しい発見や学びがある。普段自分がいる世界とは別の世界に生きる人をリスペクトしつつ、必要があればアンラーニングしていく。これはスタートアップに限らず、キャリアを積み上げていくときに非常に重要だと思います。私自身もまだまだなので、自分の世界を広げるためにも、定期的に新しいお友達を増やしたりしています(笑)。
こんな人にこそ、スタートアップに挑戦して欲しい
depcoa / 水野 :最後に、数多くのスタートアップに投資しているGCPのおふたりから、「こういう人にスタートアップに挑戦して欲しい」というのがあればお聞きしたいです。
GCP X / 水野 :一言でいうと、「成長したい人」ですね。最初は自己成長で良いと思います。自分が成長するために、外的環境をうまく使える人にとっては良い環境だと思いますね。スタートアップには様々な変化と成長機会があるので。
GCP X / 阿部 :なかなか変わらないもの、変えられないものってあるじゃないですか。組織の序列とか、昔からあるルールとかもそうだと思いますが。なかなか変わらない状況を変えたい人や、「このままでいいのかな?」という疑問がある人。そういう人にスタートアップに挑戦してもらうと良いのかな、と思います。挑戦して、成果を出せば変えられる。自分が変われば未来が変わるのがスタートアップという環境だと思うので。
depcoa / 水野 :安定感を軸に会社選びをするケースもありますが、なんらかの理由でいきなり外の世界にポーンと放り出されることもありますよね。会社や組織の後ろ盾がなくなったときに、「自分はこれができる」「これは自信がある」という個人としての強さがないと、やりたいことができないと思います。そういう可能性も想定に入れつつ、ちょっとでも強みを磨いておきたいという場合は、スタートアップへの転職も選択肢のひとつとしてアリじゃないかと思いますね。
今日は貴重なお話をありがとうございました!



