ThinkD
トップTOP RUNNERS【問題】自分という商品の売り方を答えなさい Vol.2
TOP RUNNERSVol.2

鈴木 純太(ジェイ)

【問題】自分という商品の売り方を答えなさい (ヒント)飲み会への誘われ方、比較対象の置き方

成長するために「自分にどのような問いを向ければいいか」をテーマにしたVol.2。ご自身の体験はもちろん、社外の知人や外部からインプットしたさまざまなエピソードを交えて、「自分という商品」の価値の高め方を具体的に語っていただきました。今後の目標やご自身の日々の取り組みについても語っていただいたので、今日から使える参考事例が満載です。

【問題】自分という商品の売り方を答えなさい
(ヒント)飲み会への誘われ方、比較対象の置き方
鈴木 純太(ジェイ)

鈴木 純太(ジェイ)

株式会社StartPass 事業開発部 部長

デザイナーからキャリアをスタートし、27歳で営業の世界へ。株式会社AppBroadCast(2017年にKDDIグループのmedibaに売却)では、売却まで売上を牽引。その後、株式会社RoketsでCSO(最高戦略責任者)、株式会社EVeMでBusiness Development Sales Directorを務めた後、2025年3月より株式会社StartPassにて新しいキャリアをスタートさせる。スタートアップの営業を数多く支援しており、スタートアップ4社で10億円以上の受注実績を持つグロース請負人。また、Voicyパーソナリティとして「BUFF RADIO」を5年以上每朝配信中。VOICY OF THE YEAR 2024 にも選出。クラフトビールが大好き。

詳細はこちら
水野 歩

水野 歩

株式会社ディプコア 代表取締役CEO

法人営業としてキャリアをスタート。神戸支社長・中国の現地法人副社長・本社営業部長などを歴任し、社長賞・社長賞特別賞・ベストマネージャー賞などを受賞。人材紹介会社に転籍後、日系スタートアップやグローバル日系企業に特化した人材紹介事業を立ち上げ。総粗利実績は500,000,000円以上で、個人で年間売上1位・年間決定数1位を獲得。2017年に株式会社ディプコアを設立。中小企業診断士、事業承継士。

詳細はこちら

「営業」という仕事について

▶︎ 大事にしている考え方



水野 :ジェイさんが考えていることについて、少し深掘りさせてください。営業として大事にしている考え方についてお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。



ジェイ :これは明確にありまして、「自分が一番変化していること」ですね。当たり前ですが、いわゆる三方良し的なスタンスが土台にあって、その上で大事にしていることになります。


営業って、お客様の考えを変え、行動を変え、変化を促し、決断を迫る職種だと思っているんです。であるならば、まずは僕自身が、新しいものに触れ、いろんなことを学び、変わり続けていないとダメだと考えています。


自分は何も変わらないけど、お客様には「導入してください」とか「変化してください」って言ってもムリじゃないですか。だからこそ、誰よりも行動して、変わり続けている自分でありたいなと思っています。



▶︎ 営業に求められる能力は、変わるのか?



水野 :ご意見をお聞きしたいのですが、テクノロジーの進化や外的要因の変化など、さまざまなことが変わっていく中で、これからも普遍的に求められる能力があるとしたら、何だと思いますか?



ジェイ :これからも求められ続ける能力、、、これは難しい問いですね、、、。


やっぱり、変化が激しい時代なので、自分で学んで、自分で成長の機会を手にしていかないとダメだと思います。待っていたら状況が良くなることってあまりないと思いますし、会社が何かを教えてくれるわけでもないと思うんですよ。会社も正解がわからない中でがんばっているので。


だから自分でやる。僕は勝手に『挑戦をデザインする』を自身のテーマであり、世の中に広めたいこととして謳っているのですが、自分で自分の目標を決めて、挑戦して、仮説検証して、自力で成長していくことが大事だと思います。お客様も、きっとそういう営業と話したいと思いますし。


このマインドセットがまず重要で、加えてテクノロジーの活用とかがあると思います。テクノロジーをうまく使って、効率的・効果的に学びを得ることができること。こういうことが備わっている上で、普遍的に求められることは、案件進行力と提案力だと思います。


案件進行力というのは非常にシンプルで、物事を分解してちゃんと前に進めていくための力です。営業であれば、受注なり、失注なり、何かしらの結果が出ますよね。結果に至るまでに、たとえば「電話」とか「商談」、「資料作成」、「プレゼン」とかいろんなイベントが点で存在しているのですが、それらをちゃんと線として捉えて、全体の流れを描くことができる。そして、ちゃんと進捗しているのかだったり、進捗が悪いときに改善のアクションを取ることができる。そういうのが案件進行力だと思っていて、これは今後も求められると思います。



水野 :案件が増えるほど進捗管理がぐちゃぐちゃになると思いますが、きちんと進めるために何か工夫していることはありますか?



ジェイ :自分のキャパシティ以上の案件は極力持たないようにする、というのがまずひとつですよね。あとは、パターン化して効率化することだと思います。たとえば、100人のお客様に100通りの提案メールを送るのは、手法としてはベストですがかなりの時間がかかりますよね。じゃあ、100人に対して1個のテンプレートだと、それはもうメルマガになってしまう。折衷案として、100人のお客様をパターン別に10のグループにわけ、そこに10個のテンプレートでメールを送るのはアリだと思うんですよ。


こんな感じで、お客様ごとのカスタマイズ要素を残しつつ、効率的に進められる方法はないかを考えたりしますね。



水野 :ありがとうございます。もうひとつの提案力についても教えていただけますか?



ジェイ :提案力は、お客様の課題や理想を聞いて、自分が提供できるものと結びつけて提案できる力のことです。たとえば家電屋さんで、「このパソコンは、こういうスペックで、こういう発色が特徴です」と言われたとすると、これは説明ですよね。それに対して「パソコンを使って⚫︎⚫︎がやりたいのであれば、この機種がいいと思います。なぜならこうだからです」というのが提案ですよね。


いわゆる「課題解決力」とか「ソリューション力」とは少しニュアンスが違っていて、僕はあえて「提案力」という言葉を使いたいです。なぜなら、お客様自身が課題を認識していないケースもありますし、僕がいなくてもお客様が自身で課題を解決してしまうこともあるからです。だから、この提案力は「こういうことに困っていますよね?」ではなく、「こんなことができたら良いですよね?」というイメージです。お客様の理想を引き上げる感じで、「発展的な課題設定」というか。



水野 :なるほど。営業は、取引先の部署とか事業部とか、その会社のことを考えて、「こうしたほうがもっと良くなると思いますよ。どうですか?」という提案をするべきで、それが「提案力」だと。そういうことですか?



ジェイ :そうですね。そんなイメージです。



水野 :もう少し解像度を高めたいのですが、自社のサービスや自分たちの業界については顧客が最も詳しいという捉え方もあると思います。そのなかで、顧客よりも先を見据えて提案をするのは結構な難易度だと思うのですが、いかがでしょうか?



ジェイ :確かに、それはあると思いますね。たとえばですが、お客様が自分たちの業界についてめちゃくちゃ詳しいというのはその通りだと思います。ただ、自分たちの業界だけでできることって限られているという見方もできると思うんです。つまり、「他の業界だとこういうことをやっていますよ」という情報が、提案になるかもしれないということです。


自社サービスや業界のことに詳しいお客様と、いろんな業界に詳しい僕がいたとして、これが掛け算になったときに、未来につながる「発展的な課題設定」ができるんじゃないかと考えています。そのためにも、僕はいろんなことを学び、試し、変化し続けておく必要があると思うんですよね。



水野 :なるほど。少し話が飛ぶかもしれませんが、ジェイさんが普段よく使ってらっしゃる「事業開発セールス」という言葉にも、似たような意味合いが込められているのでしょうか?



ジェイ :あれはもともと、自分たちに向けた言葉として考えたんですよ。僕自身が0→1で事業を立ち上げていくことが得意だったので、営業手法とかデリバリーのオペレーションを考えながらつくっていくというのをやっていました。なので、意図的に「事業開発」と「セールス」をくっつけたんです。当時はビズデブと新規開拓セールスの中間のようなイメージでしたね。そこから「事業開発セールス」という言葉が次第に使われるようになってきて、いま思えばお客様に向けた言葉としても使えますね。「お客様と一緒になって、お客様の事業を開発する。そのための提案をするセールス」という意味合いですね。


ちなみに、いま事業開発セールスについての考えを体系化してまとめているところです。事業開発セールスをBDS(Business Development Sales)と呼んでいるのですが、そこには「4つの視点」と「8つのミッション」があって、それぞれの定義を言語化して整理しているんです。



視点の中に顧客との「共創の視点」というのがあるのですが、これがまさに、いま話に出てきたお客様と一緒にビジネスディベロップメントをしていくというニュアンスですね。


仲の良い営業の人にこれを見せて、フィードバックをもらっているのですが、最初の方は「100人の営業がいたら、5人くらいしかわからないよ」と言われました(笑)。フィードバックをもとにブラッシュアップを重ねて、少しずつ良くしていってる感じですね。


頭の中にある考えやイメージを言葉に落とし込んで整理するのって、すごくしんどいんですよ。でも、自分のキャリアとして捉えると、これまでとは違うことにチャレンジしているので、すごく楽しいんですよね。「自分のフレームワークをつくっている」ということにもテンションが上がりますし(笑)。


これまでにないものをつくって、それを使ってお客様に提案して、お客様と一緒になって新しい事業やサービスが生まれたりするかもしれないんです。僕はすごくおもしろいし尊いことだと思っていて、「営業ってすごい仕事だな」と感じたりするんです。こんな楽しい仕事って、なかなかないですよね。


売るとか、今月の目標とか、シェアとか、そういうところだけがフォーカスされてしまうと、「つらい」とか「苦しい」というイメージを持たれがちですが、それこそ0→1に近いフェーズであればあるほど、本当にいろんなことができるので最高に楽しい仕事だと思いますね。



水野 :しんどい部分だけじゃなく、魅力の部分もたくさんあるので、ちゃんと伝えていきたいですよね。これは私の話になってしまいますが、新人のころは新規電話のKPIが嫌いでした。アポ件数と電話件数の両方を追え、と言われていたんですが、トークに自信があったので無駄だなと思って。「どちらかを選ぶなら大事なのはアポ件数のはずだから、電話件数を達成できなくてもアポ件数が達成すれば良いですよね?」と上司にかけあって、例外として嫌々認めてもらいました。電話の目標件数は無しにする代わりにアポの目標件数を上げられましたけど(笑)。



ジェイ :僕もテレアポをやっていたころは、そういったKPIの設定をされるのは嫌いでしたね。だから「この業務にはどんな価値があるんだっけ?」と考えるようになりました。そういうきっかけをくれたから、テレアポには感謝していますね(笑)。


KGIとかKPIとかいろんな物の見方がありますが、本当に必要なことは何か?を考えることは大事ですよね。さきほどの例も、アポイント件数がKGIで、電話件数はKPIじゃないですか。KGIを達成していればOKというのは僕も同じ考えですし、そのためにどういうアクションを取るのかに、個人のがんばりとか工夫が出てくるのだと思います。



活躍している営業は何をしているのか



水野 :いろんな方と繋がりがあると思いますが、ご自身も含めて、活躍している営業に共通点があるとすれば、どういうところだと思いますか?



ジェイ :みんな変化してますよね。前に向かって常に動き続けているという印象があります。会って話をするたびに、いつも新ネタがあるというか。仕事の現場で新しいことをやってみたというのもそうですし、新しい趣味を始めたというのもあります。


僕より年上の方も、「ちょっと聞いてよ、この前こんなことを始めたらおもしろくてさ」みたいな感じで、新しいマネジメント手法を試してみたりとか、すごいですよね。僕の諸先輩方がみなさんそんな感じなので、僕なんかが立ち止まっていられないというか、離されないように必死みたいな(笑)。


いつも同じ話をする人もいるじゃないですか。立ち戻る先があるのは悪いことではないと思いますが、僕は個人的に、いつもフレッシュでいたいと思っています。だから、「この人すごいな」「活躍しているな」と感じるのは、常に変わり続けている人ですね


こういう考えなので、年下の人から飲みに誘われるとうれしいんですよ。誘ってもらえると言うことは、「ジェイと飲みに行けば新しい話題を持ってきてくれそうだな」と思ってもらえているということなので。年上の先輩方にも追いつきたいですし、年下の人からの期待にも応えたいので、変わっていくことって大事だと思っていますね。



水野 :そんなジェイさんにとっての新ネタって、どんなものがありますか?



ジェイ :えっと、たくさんあるのですが。おもしろかったのは、「営業とPRの掛け算」みたいな話ですね。いま、広報のスペシャリストの方にメンタリングをしてもらっているのですが、そこで聞いた「営業ってこんなに奥が深いんだよ」という話です。


たとえば、エンタープライズ営業って大企業のお客様に提案しますよね。提案して、受注して、その後にエンタープライズ営業のすごい人たちは、お客様と一緒にメディアに提案していくそうなんです。新聞社とかテレビ局とかに。


HR系のSaaSを扱っているとして、いまは人的資本経営という大きな文脈があるので、そのテーマに沿って提案するんです。「この大企業のお客様がうちのサービスを入れてくれました。これによって、この大企業は人的資本経営の観点ではこういうことができるようになります。これをニュースとして特集しませんか」みたいな。


それを、そのSaaSの営業は、社内の広報と大企業のお客様を巻き込んで、チームを組んでメディアに提案に行くんです。「ジェイさん、ここまでやって営業ですよ」と教えてもらって、「すごい!そこまでできるんだ。おもしろい!」って思いました。


同時に、僕が思っている営業のレンジって、すごく狭かったなと思ったんですよね。それからはお客様と一緒にメディアに何か提案できないかな?とかも考えるようになり、視点が広がりました。どこかで、「そういうのは広報の仕事」という決めつけがあったのかもしれません。営業とかセールスという言葉の枠に縛られていたというか。でも、一般的な役割の枠を飛び越えて仕事をしている人の話を聞いたら、「僕も挑戦してみたい!」と思うようになったんです。


先ほどの僕がつくっているフレームワークだと『共創の視点』になると思うのですが、お客様と一緒になって企画をつくってメディアに提案していく。そうすることで新しい価値を作り出すことができますし、キャリアとしても刺激的だと思います。



今後の目標、やりたいこと



水野 :今後の目標についてお聞きしたいです。どんどんアップデートされると思うので、現時点のもので良いので教えてください。



ジェイ :わかりやすいマイルストーンでいうと、本を出したいと思っています。自分のノウハウを本にしたくて、ひとつは営業をテーマにしたもので、『BDS(Business Development Sales)』についてまとめたもの。もうひとつは、キャリアをテーマにしたもので、『挑戦をデザインする』という考え方をまとめたいと思っています。


このマイルストーンの先に思い描いているのは、職種とか会社の垣根がない世界というか、いまよりもすごくオープンな世界です。その世界では、個人が自分のことをひとつのプロダクトとしてどんどん発信していて、その発信を受けて、いろんなチームがつくられてプロジェクトが動いていくみたいな。そういう世界に持って行けたらおもしろいと考えています。


たとえば、「大企業にこういう提案をしたい」というイシューだけがあって、そこに魅力を感じた僕が加わり、ほかにもいろんな人や企業が集まってきて、チームが生まれ、仕事が生まれるといった世界観です。


なぜそういう世界観を望んでいるかと言うと、自ら発信することで会社や職種の枠組みを飛び出して、ほかの人と繋がったり、成長の機会があったりして、本当に良かったと思っているからです。この体験を知ってもらうためにも、本を出して、たくさんの人に知ってもらえたらうれしいなと思っています。



水野 :ジェイさんの考え方を広めていくことで、いまよりも前向きな気持ちで挑戦する人が増えたら素晴らしいですね。最後に、読んでくださっている方にメッセージをお願いします。



ジェイ :そうですね。自分のことをプロダクトとして見て欲しいと思っています。自社のサービスを売るプロの方がこれを読んでくださっていると思うのですが、自分という商品を、どういうマーケットに、どうやって売るか。どういう価値を、どんなメッセージにして伝えるか。


そうやって、一度自分のことを客観視してみることをオススメします。そうすることで、「こういうスキルを磨いたほうがいいな」とか、「こういうポジションを取りにいきたいな。そのためにどうしようか?」とかいろいろと見えてくるはずです。


あとは、それを実現するためにどうするかを考えて、新しいことに挑戦していけばいいと思います。これまでとは違う自分に変化していくことは楽しいですから、ポジティブに挑戦できると思います。



水野 :挑戦の過程でこれまでの自分と比較することがポイントだということだと思いますが、ジェイさんは他者との比較はしないのですか?



ジェイ :ほぼしないですね。他者と比較すると、僕は萎えちゃうんですよ。嫉妬みたいな変な感情が出ることもあるので、個人的には嫌なんですよね。


他者との差を埋めるためにがんばることもできますけど、そうすると「あいつはラッキーなだけだ」とか、そういうドロッとした気持ちになっちゃうし、それが言い訳になるじゃないですか。僕は本当にいやらしい人間なので、他者と自分の違いを考えちゃって、そこに変なカロリーを使うのが嫌なんですよね。もっとピュアな成長意欲を持っていたいというか。


なので、最初はまわりの人と比べることもありましたが、いまは過去の自分と比較して変われているかを見ています。それに、今日の自分よりも明日の自分のほうが成長していないと嫌なんですよね。気持ち悪いというか。ちょっとでいいので変わっていたくて。


だから今年から10年日記に変えたんですよ。これまでは3年日記を書いていたんですけど、今年から10年に変えました。10年分の「今日」が縦に並ぶので、これまでの自分と比較して変われているかをチェックできるんです。こういうツールも使いながら、常に自己ベストの更新を狙っていきたいですね。



水野 :今日は貴重なお話をありがとうございました!



この記事をシェア