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TOP RUNNERSVol.2

高橋 優斗

エンタープライズセールスの「成果が出るレシピ」。 「優秀な営業」の構成要素、困難の乗り越え方。

顧客の利益を最大化するための営業手法を語っていただいた高橋氏。Vol.2では、営業に求められる資質やAIとの付き合い方とその理由、「優秀な営業」は何がどのように優れているのか、「量と質」のどちらが重要なのか、といったテーマに対して、細部まで言語化されたご自身の考えを伺いました。

エンタープライズセールスの「成果が出るレシピ」。
「優秀な営業」の構成要素、困難の乗り越え方。
高橋 優斗

高橋 優斗

株式会社ログラス イネーブルメント室 室長

1994年生まれ。2017年、新卒で株式会社キーエンスに入社。センサーの営業として大手自動車メーカーなどを担当。2021年、1人目のフィールドセールスとして株式会社ログラスに入社。新規事業営業責任者、エンタープライズ統括部 部長を経て、現在はイネーブルメント室 室長。学生時代にはプロキックボクサーとして日本ランカーになった経験も。座右の銘は『痛くなければ辛くない』。

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水野 歩

水野 歩

株式会社ディプコア 代表取締役CEO

法人営業としてキャリアをスタート。神戸支社長・中国の現地法人副社長・本社営業部長などを歴任し、社長賞・社長賞特別賞・ベストマネージャー賞などを受賞。人材紹介会社に転籍後、日系スタートアップやグローバル日系企業に特化した人材紹介事業を立ち上げ。総粗利実績は500,000,000円以上で、個人で年間売上1位・年間決定数1位を獲得。2017年に株式会社ディプコアを設立。中小企業診断士、事業承継士。

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営業に求められる資質とは?



水野 :次は少しテーマを変えたいと思います。いま営業として働いている方々がたくさんいらっしゃいます。時代の変化やテクノロジーの進化などいろいろと状況が変わっていく中で、それでも普遍的に大切なものがあると思います。「いま、こういうことが大切だと思う」とか「これからはここを押さえておいたほうがいい」といったことについて、高橋さんのご意見をお聞きしたいです。



高橋 :まず、素養みたいなところでは、やっぱり人に喜んでもらうことをうれしいと感じるかどうか。これは必須の要素だと思いますね。「お客様が喜んでくれたらうれしい」とか。たとえば、サプライズをするのが好きな方とかは、けっこう営業に向いていると思います。


これは僕なりにロジックがあります。「この人のためにがんばりたい」という気持ちがあることが前提なんですが、サプライズの場合は「この人」が想定していないことをして相手を喜ばせたいという発想なんですよね。


これって、営業が信頼を勝ち取りに行くときの思考回路と似ていると思います。だから、サプライズが好きな人は営業に向いている人が多いと思うんですよ。「サプライズ能力」とか「相手を喜ばせる力」というのは営業にとっては大事なことですし、今後ますます大切になると思っています。なぜならAIにはできないからです。AIにサプライズされても、うれしいと感じる人は少ないと思うんですよね。


このベースがある上で、これから押さえておいたほうがいいと思うのは、AIとうまく付き合うことだと思います。AIの使い方は二分化しているというのが個人的な意見なのですが、自分で考えることを放棄してAIに調べさせる場合と、自分で準備した仮説をAIと壁打ちしてさらに思考を深めていく場合があると思っています。


前者の場合は、自分で調べた気になってしまうので、自分の言葉で語ることが難しい。相手に響く提案ができないから、これからの時代には取り残されてしまうのではないでしょうか。ただ、壁打ちでAIを使う場合はどんどん思考が深まっていくので、生き残っていく。このように、AIと上手に付き合えることが、今後は必要なスキルになってくると思いますね。



▶︎ エンタープライズセールスは、RPGゲームである



水野 :営業に必要な素養や今後求められるスキルについてお聞きしましたが、他にも「これが大切だ」というものはありますか?



高橋 :加えて言うとするなら、どうすれば自分の戦闘力を上げることができるのか、みたいなことを考えて行動するということでしょうか。

たとえば、商談相手に合わせた有益な事前準備って非常に大事ですよね。僕はエンタープライズセールスをしているので、エンタープライズに寄ってしまうのですが、SMBやミッドマーケットと比べるとエンタープライズに対する商談の仕方は大きく異なります。そのため、いろんな工夫が必要になると思っています。


具体的には、エンタープライズ向けの商談は相手がライン長のエグゼクティブの人から始まるケースがほとんどです。こういう人たちとまともに会話できる知識と能力が必要になります。それこそ、財務知識とかもそうですよね


だから僕は、顧問サービスを活用しています。顧問の方に時間をいただいて、会社の歴史とか沿革を詳しく教えてもらうんです。エンタープライズの場合は、社内に複数のカンパニーがあったりしますから、それぞれのカンパニーがどういう背景で誕生したのかや、どことどこがくっついていまのカンパニーになったのか、現在の力関係はどうなっているのかなどを最初に押さえます。



水野 :確かに、現場の担当者の方に向けたアプローチとは大きく異なりますね。



優秀な営業に共通点はあるか?



水野 :高橋さんは社外にいろいろなつながりをお持ちだと思いますが、優秀な営業の方に共通していることはありますか?



高橋 :一番の共通点は、みんなお客様の利益を第一に考えているところですね。営業視点じゃなく、お客様視点で話すというか。「主語がお客様」なんです。特にITセールスをやっていて「この人は優秀だな」と思う人はみんなそうだと思います。売って終わりじゃなくて、その後もお付き合いが続いていくので、やっぱりお客様の視点で物事を見ていますね。


あとは、ちょっと幼い表現になるかもしれないんですが、「自分がやられて嫌なことはしない」というのはみんなの共通認識ですね。ムチャなクロージングはしないとか、嘘をつかないとか、そういう当たり前のことをちゃんと徹底している人が多いと思います。


加えて言うなら、知的好奇心が旺盛な人ばかりですね。これは営業という職種に限らず、すべての職種に共通していると思います。



▶︎ 「優秀な営業」を科学する



水野 :ありがとうございます。営業に限った話になりますが、仮に「圧倒的な成果を出す人」と「なかなか成果を出すことが難しい人」にわけた場合、この差はなぜ生まれると思いますか?

高橋 :大前提、「なかなか成果を出すことが難しい人」は「その会社という環境では結果が出なかった」だけで、営業として優秀ではないと結論づけるのは間違っていると思います。が、結果を出す人はどこでも結果を出します(笑)。これは誤解を恐れずに言うと、才能の差じゃないでしょうか。「圧倒的な成果を出す人」は、ほぼ才能だと思います。


さっき「好奇心が旺盛」と言いましたが、好奇心を持って物事を見ることができるのって、才能だと思うんです。興味を持てない人に「興味持とうぜ」って言ってもなかなかできないじゃないですか。だから、いろんなことに興味が持てるのは、それだけで才能だと思うんですよね。


会話が弾む人に「頭の回転が速いね」と言ったりしますけど、これって結局は好奇心が旺盛だからいろんな情報が頭に入っていて、引き出せば何か出てくるから引き出しているだけだと思っていて。さらに、誰かと話すと新しい情報を得られるから、人と話すことが好き。人と話すときに自分の頭から何かの情報を引き出している回数が多いから、頭の回転が速いように見える。つまり、好奇心があること自体がひとつの才能で、その才能を発揮している人が「すごくできる人」になる確率が高いということだと思います。


「なかなか成果を出すことが難しい人」は、さきほどお話した通り「その土俵では輝けなかった」人になると思いますが、これはシンプルに売り物やお客様のドメインに興味を持てない人だと思います。


「好き」と「興味を持てる」はちょっと別の話で、僕は管理会計は別に「好き」じゃないけど、お金を稼ぐことは好きなので「興味は持てる」。だからログラスでも結果を出せています。ただ、やはり好きでもなく興味を持てないものを売るのは、営業として楽しくないですし、お客様も楽しそうではない人から買いたいとは思わないですよね。そういうことだと思います。



▶︎ 才能の「アリ・ナシ」は選考で見極められるのか?



水野 :自社の選考にも参加されると思いますが、どうやって見極めているのでしょうか?



高橋 :まず、好奇心が旺盛かどうかは、これまでの人生の経験を聞くことが多いです。あとは趣味についてはけっこう質問しますね。多趣味の場合は、好奇心が旺盛だと思います。


人生の経験というのは、仕事も含めて、その人のこれまでを全部聞いています。何か困難があったときに、どうやってそれを乗り越えたのかとか、困難をだれかのせいにしていないかとか。「困難を自分で乗り越えた経験があるか」はけっこう深掘りして聞いていると思います。あとはマインド面とスキル面の確認をします。


マインド面は、誰かのせいにせず、自分で乗り越えた経験があるかどうか。スキル面は、営業の場合はアカウントプランをつくってもらったり、スキル面接をやったりします。スキル面接の内容は秘密です(笑)。


スキル面接をやった後の反応も見ていて、「楽しかったです!」と「難しかったです、、、」にわかれるんですよね。内容がパッとしなくても「楽しかったです!」という人は前向きなスタンスだと評価できます。



▶︎ 量と質、どちらが重要か?



水野 :「困難を乗り越えたか」という話が出てきたので、ご意見をお聞きしたいです。転職のご支援をしていると、「量よりも質を追求したいから転職したいです」とか「会社の業績が悪くなってきたので転職を考えています」みたいな転職理由がけっこう多いのですが、どう思いますか?



高橋 個人的には、量じゃなくて(量を置き去りにして)質を追いたいという人は活躍しづらいと思っています。理由は簡単で、質を追求するには量をこなすことが必要だからです


量をこなすことがしんどいから質に行きたいというのは、目の前の困難から逃げているだけ。そういう人って、10件追いかけて、10件アポイントを取るみたいなことを言うじゃないですか。でも、本当に質を追求する場合は、100件追いかけて、20件の良いアポを取ってくる。そして、20件の中からさらに取捨選択するみたいなことだと思うんです。


あと「会社の業績が厳しいから転職を考える」というのは、僕は真っ当な転職理由だと思います。なぜなら、その人の努力で越えられる困難の壁ではない可能性があるからです。



水野 :なるほど。失礼ながら、高橋さんはログラスに転職されてから、成果が出ない時期を過ごされていますよね。そのときは、どのように困難を克服したのでしょうか?



高橋 :僕の場合は、キーエンスでやってたことをそのままログラスでやろうとしたんですよ。そして、全然うまくいかなかった(笑)。キーエンスでやってたのは、「このセンサーを良いと思って、買ってもいいなと思ったのであれば、今日買ってください」という営業をしていました。でも、同じことをログラスでやってもまったく通用しなくて。ログラスはSaaSで年間最低数百万円のサービスなので、そもそも同じやり方をしたらダメなんですよね。


全然売れなくて、「このままじゃダメだ」となったときに、僕はシンプルにまわりの人に聞きました。それこそXを使っていろんな営業の方とお話をさせてもらったり、ロープレを見てもらって厳しめにフィードバックしてもらったり。そうすることで、一気にアンラーニングできたと思います。



水野 :そうだったのですね。ロープレって大事ですよね。私も以前は上司に付き合ってもらってよくやってました。



高橋 :僕も「ロープレはやったほうがいい派」ですね。ロープレをやらない営業組織って、サッカーに例えるとシュート練習とかパス練習だけして試合に出るようなものだと思っています。どのチームでも、実践形式のゲームをするじゃないですか。練習のときから試合を想定しておかないと、本番でうまくできないから。


なので、社内では僕がロープレした内容を録画して、教材としてみんなに見てもらっています。事前準備のフレームワークの使い方とかも、「たとえばこういう感じで使ってください」というのを共有しています。


ちなみに、メンバーとイネーブルメント1on1をする時は、「あとちょっと」をフィードバックするようにしています。たとえば、事前準備であれば4つのポイントに沿ってメンバーがまとめた仮説に対して、「ちなみにこの企業の競合って何をやってるの?」「このお客様の業界の動きってどうなの?」ということを投げかけたりします。最後の仕上げじゃないですけど、「僕だったら」という観点で、あとちょっと工夫することでもっと良くなるところを見つけて、そこに気づいてもらうみたいな感じですね。


事前準備以外の細かいところだと、たとえばお客様に送るメールにも「テンプレートを使えばいいけど、一行だけでいいからカスタマイズしよう」と言っています。それだけで人間味が出るし、ほかの営業がやってないならなおさらですよね。フレームワークをベースにして、トッピングとしていろいろな「あとちょっと」を乗せる。相手に対する興味を出すのが「あとちょっと」の部分だと思っています。


基本がちゃんとしていることが大前提ですが、この「あとちょっと」で本当にお客様からの評価は変わりますよね。裏付けのデータはありませんが、まだ成果が出てなくて、営業の楽しさが感じられないから「営業をやりたいわけではないけどやっている」という人も結構多いと思うんです。であればなおさら、他の人がやらないところで頑張るだけで、差をつけられると思います。


そもそも、営業という仕事ってあまり人気ないですよね。僕はけっこう良い仕事だと思っているので、なぜ人気がないのかわからなくて。もしかしたら、「売れるまで帰ってくるな」みたいなガッツ100%のイメージがまだ強いのかもしれませんね。書類仕事がたくさんあって、いっぱい電話して、みたいな。そう考えると、すでに営業が好きな人じゃなくて、これから営業をしようと思っている人とか、やってみたけどまだ好きになれていないという人に、営業のおもしろさを届けていかないとダメなんでしょうね。



今後の目標



水野 :ご自身の今後の目標みたいなものがあれば教えていただけますか?



高橋 :僕の根底には、「日本を良くしたい」という考えがあります。「良い景気を作ろう。」というのがログラスのミッションなのですが、僕はこのミッションをどうにかして実現に近づけたいと思っているんです。自分の子どもが大人になったときに、いまよりも良い日本であって欲しいというのが大前提としてあります。


そのために営業としてできることは、やっぱり「良いサービスを、良い会社に届ける」ことだと考えています。そうすることによって日本全体の利益が伸びるし、「良い景気を作ろう。」に近づいていくと思っているので。


ただ、ログラスでできることには限界があると思っているので、ゆくゆくは自分で起業して、同じように日本を良くしていくための動きを加速させるような会社をつくってみたいと思っています。


あとは、個人的に30代で10億円の資産をつくりたいっていう目標があります。これは特に理由はないんですけど、ゲームとしての目標ですね。この10年をひとつのゲームととらえたときに、キリよく10億円というゴールを置いています。ゴールに到達するにはどうすればいいかを考えて、実行していくシミュレーションゲームのような感じです。



水野 :なかなか攻略が難しそうな、でも刺激的なゲームですね(笑)。最後に世の中のセールスパーソンに向けて何かメッセージをいただけますか?



高橋 :そうですね。最後なので本音を言うと、いま営業をしていて楽しいと思っていない人は、できるだけ早く辞めたほうがいいと思います。嫌いなままで営業をやっても、お客様を喜ばせることは難しいと思いますし、本人も楽しくないと思うので。


ただ、少しでも楽しいと思うなら、もっと楽しくする方法がたくさんあります。それこそ利益構造について勉強してみることもそうですし、お客様に興味を持つだけでもめちゃくちゃ楽しくなるはずです。そういう気持ちで、営業という仕事と向き合ってみてください。その過程で何か困ることとか、「ここをもっと知りたい」とかが出てきたら、いつでも僕のXにDMをください。いろいろとお話しますので。営業はみんなをハッピーにできる良い仕事だと思っているので、一緒に世の中を良くしていきましょう。

水野 :今日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!



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