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グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)

VCが考える、活躍するセールスパーソンとは。 採用における共通点とトレンド、レジュメや面接

これまでに数多くのスタートアップを支援してきたグロービス・キャピタル・パートナーズ。その中で、投資先企業の採用をサポートしてきたおふたりとの対談記事のVol.1です。セールスに求める考え方やスタンスから、「書類選考時にレジュメの何を見るか」「面接では何を聞くのか」まで、リアルに話していただきました。

VCが考える、活躍するセールスパーソンとは。
採用における共通点とトレンド、レジュメや面接
水野 由貴

水野 由貴

(グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 GCP X Value-up Professional)

エン・ジャパン株式会社にて、法人企業の採用支援に従事。その後、同社の経営戦略、新規事業開発に携わる中、戦略的子会社の立ち上げに参画。代表取締役社長として事業拡大に携わる。サービスを事業譲渡し、2018年10月、グロービス・キャピタル・パートナーズに入社。投資先の経営組織のバリューアップを行うGCP Xの立ち上げに参画。

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阿部 優貴子

阿部 優貴子

(グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 GCP X Value-up Professional)

2013年、在名テレビ局であるCBCテレビにアナウンサーとして入社し、テレビ・ラジオの生放送などを中心に担当。2017年、セント・フォースに所属し、フリーアナウンサーとしての活動を開始。報道番組・情報番組にて生放送のモデレーターを務める。2022年4月よりグロービス・キャピタル・パートナーズに入社。GCPXにて、投資先の組織・採用支援などを中心に担当。早稲田大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。

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水野 歩

水野 歩

(株式会社ディプコア 代表取締役CEO)

法人営業としてキャリアをスタート。神戸支社長・中国の現地法人副社長・本社営業部長などを歴任し、社長賞・社長賞特別賞・ベストマネージャー賞などを受賞。人材紹介会社に転籍後、日系スタートアップやグローバル日系企業に特化した人材紹介事業を立ち上げ。総粗利実績は500,000,000円以上で、個人で年間売上1位・年間決定数1位を獲得。2017年に株式会社ディプコアを設立。中小企業診断士、事業承継士。

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GCPについて

depcoa / 水野 本日はお時間をいただきありがとうございます。「活躍するセールスパーソン」というテーマでお話をお聞きできればと思います。まず最初に、会社の自己紹介をお願いできますか?



GCP X / 水野 :グロービス・キャピタル・パートナーズ(以下GCP)は、25年以上の歴史がある老舗のベンチャーキャピタルになります。有望なスタートアップ企業に投資して、起業家に寄り添いながら、Exitまで支援をしています。主にリード投資家として、そして社外役員として投資先企業の経営に入っていくのが特徴で、経営に参画してしっかりと起業家をサポートする。またその上で、キャピタリストと共にバリューアップに向けた支援をするのが私たちのスタイルになります。


2号ファンドでGREE、4号ファンドでメルカリやビズリーチ(現ビジョナル)、その後スマートニュースなど、複数の国内ユニコーン企業に投資をしてきました。現在は7号ファンドを運用していますが、727億円の規模なので日本の中では最大級の大きさのファンドを運用していると思います。




depcoa / 水野 :GCPからの投資が入っていると、「筋が良いスタートアップだな」というイメージがあります。



GCP X / 水野 :ありがとうございます。ポジティブな印象を持っていただけているのは、長いファンドであることに加えて社内のメンバーがしっかり育っているからかもしれません。ゼネラルパートナーが3代目になっており、しっかりと次の世代が育っているので、継続的にファンドを運用できていることが大きいと思います。



depcoa / 水野 なるほど。フェーズや領域など、投資先企業を選ぶときの基準はあるのでしょうか?



GCP X / 水野 :まず大前提として持っているのは「起業家ファーストでありたい」ということですね。フェーズや領域についてですが、いずれも様々だと考えています。日本産業の成長を牽引していけるような企業であれば、とくに投資を行う業界の制限は設けずに支援していくというのが私たちの考えになりますね。



depcoa / 水野  : そんなGCPの中で、おふたりが所属されている「GCP X」というのはどのような役割を持つ組織ですか?



GCP X / 水野 :投資先企業のバリューアップにつながるような様々な施策を担うのが私たちGCP Xの役割になります。スタートアップにとっては組織拡張が重要なファクターなので、事業と経営と組織の整合性を取ることが重要だと考えています。そのための経営陣のサポートをすることが私たちのミッションです。


投資先が数人から数百人になるフェーズにおいて、経営計画や事業計画と組織の状況が整合しているのか。経営から現場に目を移したときに、どういった経営人材を採用していくべきか。そして、採用チームの作り方やそのプロセスをどのように適切化していくか。こういう部分を考え、整理し、施策として実行しています。その中でも、私は実際の採用活動をどのように成功させるかといったプロジェクトマネジメントの役割を担うことが多いですね。



GCP X / 阿部 :私は採用における候補者と向き合う役割です。エージェントのみなさんやダイレクトソーシングのハブになって、ハイレイヤーやミドルの候補者の方々が投資先企業に興味を持ってくださるようにコミュニケーションを取っています。


スタートアップがセールスに求めるもの


▶︎ セールスの採用における共通点とトレンド


depcoa / 水野 :投資先企業の採用において、特にセールス部門についてお聞きしたいです。スタートアップが求めているスキルや経験、マインドなどに共通点があるとすれば、どんなものが挙げられるでしょうか?



GCP X / 阿部 :共通点を挙げるとするなら「柔軟性」だと思います。スタートアップは常に変化しています。フェーズで言えば、大きくアーリー期、ミドル期、レイター期があり、成長していく限り状況がどんどん変わっていきます。ビジネスモデルも、プロダクトも、顧客も、常に進化していくので、変化に耐えうる柔軟性はかなり重要だと考えています。


また、最近特に感じているのが、「すでに仕組みがあるなかで売るスキル」と、「スタートアップのセールスに求められる売るスキル」は、似ているようで違うということです。セールスとして素晴らしい実績をお持ちであっても、スタートアップに転職して売れなくなることは多々あります。そのため、「どういう仕組みがあればいいだろう」とご自身で考えてきたとか、これまで所属していた組織の中で自分なりに仕組みをつくってきたとか、そういう部分がいますごく求められていると感じています。



GCP X / 水野 :私も似ていて、変化に適応する能力と胆力が求められていると思います。このふたつは私の中では相反する部分がありますが、両方が同時に求められるイメージです。


スタートアップには常に変化の可能性があります。先ほどプロダクトや顧客が変わるという話が出ましたが、経営者が変わることだってもちろんあります。そういう環境においては、ご自身が担う役割が変わることも多いです。環境の変化に合わせて、組織の中での自分の役割やポジショニングを見出していく能力。そして、変化の多さに耐えながら成果を出すために努力し続けられる胆力。その両方が同時に求められるというのは、仕事をしていて感じるところですね。



depcoa / 水野 :「変化への適応力」と「胆力」というキーワードが出てきました。「変化への適応力」についてですが、スタートアップに入ったらどのような変化が待っているでしょうか。



GCP X / 阿部 :"アーリー期のスタートアップの場合は、事業がピボットする可能性があります。単純に売るものが変わることもありますし、担当する顧客の属性が変わることもあります。



GCP X / 水野 :加えて、ロールやレイヤーの変更もありますし、組織の変化もあるのがスタートアップです。すべては「事業を成長させるため」という大きな目的につながっているのですが、メンバークラスの場合だと、目の前の変化がとても大きいと思います。



depcoa / 水野 :もうひとつのキーワードである「胆力」は、どのようなシチュエーションで求められるのでしょう。



GCP X / 水野 : 事業の成長ために必要な変化を、ある意味で客観視しつつ、変わることを受け入れてこれまで同様成果を出すために頑張り続けることができるか。そういう判断を求められる機会が、スタートアップは多いのだと思います。


目の前のやるべき事は変化が多いが、大きな方向性を理解して、着実に目指すゴールに向かっていくというか。その様に、一歩引いて自分のことやそのときの状況を客観視できると強いと思いますね。



depcoa / 水野 :「自分の担当業務」という枠の中だけで物事を見てしまうと難しいですよね。大事なのは、経営視点を持って目の前の小さな変化を見てみることかと思います。



GCP X / 水野 :そうですね。お会いしてみて「優秀だな」と感じる候補者の方は、階層ごとに切り分けて物事を整理するのが上手な印象があります。「スタートアップという状況から考えた時に、この会社はこういうポジションを取るべき。だからこういう経営方針であり、それが組織や自分自身に落ちてきた時にこういう目標になっている」という感じで、段階を踏んで物事を捉えられていることが多いです。


そのため、いまのポジションからふたつくらい上のレイヤーの視点を持っている。客観的に自分の会社を見た時に、「この会社はどうあるべきか」という問いに対して、その方なりの意見があるんです。そういう方は、ひとりのビジネスパーソンとしても強い印象があります。



GCP X / 阿部 :私も「客観性」はすごく重要なキーワードだと思います。採用の場面に置き換えると、ご自身のことを客観的に捉えられていないと、転職がうまくいかないこともあり得るからです。「いま外資系企業で2,500万円もらっているので、転職するとしたらそれ以上の年収が欲しいです」とか、「次はCOO候補じゃないとダメです」とか、可能性を狭める判断につながりかねないんです。


年収とかポジションは、あくまでも相対的なものです。マーケットの中で見た時に、その方にそれだけの年収を払う価値があるなら何も問題はありませんが、ご自身の主観だけで物事を判断してしまうとうまくいかない傾向にあると思います。


逆に、客観的にご自身の市場価値を把握できている方は、その価値を高めるための手段としてスタートアップを選ぶことができると思います。たとえば、「年収は少し下がってしまうけど、ここから先の3年でこれくらいの成長機会がありそうだから、自分のキャリアにとってはプラスになるな」みたいな。こういう考え方はとても重要だと思います。



depcoa / 水野 :共通するスキルや経験、マインドについてお聞きしましたが、次はトレンドについてです。スタートアップのセールス採用において、ここ最近の流行はありますか?


GCP X / 阿部 :企業からは、「エンタープライズ向けの営業ができること」というキーワードが何度も出てきています。「私たちの投資先企業」という前置きが入ると思いますが、ステップのひとつとしてユニコーン企業を目指しているスタートアップが多いです。その前提に立ったときに、事業成長のためにはエンタープライズをおさえることが重要になります。


この流れで、「顧客の経営陣や部長クラス以上と交渉ができること、そのためのビジネスマナーが備わっていることが大事」ということは耳にタコができるほど言われています。一方で、この要件を満たす人材が転職マーケットに少ないので、需給バランスのギャップをかなり感じています。



depcoa / 水野 :私もエージェントとして動いているなかで同じような印象を持っています。具体例を出すと、これまではエンタープライズ向けにハードウェアを売っていた。しかし、SaaS企業にはなかなか採用されない。そういう傾向があると感じているのですが、どうでしょうか?



GCP X / 阿部 :ポイントになるのは「変化への適応力」だと思います。変化が多いスタートアップにおいて、アンラーニングの重要度は非常に高いです。いままでのやり方や経験を大幅に入れ替える必要性がありますから、そこに適応できるかどうかだと思います。


扱ってきた商材という観点では、「ハードウェアを売ってきた人はSaaSでは通用しない」と言い切ることは絶対にできません。でも、やはりスピード感や対峙する顧客のカウンターパートの属性を考えると、ソフトウェアの経験をお持ちの方のほうがマッチしやすいとは思います。これはあくまでも確率の話ですが。



depcoa / 水野 :ありがとうございます。では少し目線を変えて、「エンタープライズ向けの営業経験を求めるスタートアップが多い」というトレンドがある中で、大手企業で磨いておいた方がいいことはあるでしょうか?



GCP X / 水野 :段取りを大切にしながら物事を前に進めていく経験でしょうか。「調整力」というと少しずれてしまうかもしれませんが、社内外の関係者の意見や立場を踏まえながら、落とし所を見つけて案件を前に進めていくことは、エンタープライズ向けの営業をする上でとても大切なスキルだと思います。それを磨けるのは、やはり人数規模の大きな企業だと思います。



▶︎ フェーズ別で異なる「求められる営業スキル」


depcoa / 水野 :スタートアップが置かれているフェーズによって、求められる営業スキルや得られるキャリアは異なると思っています。おふたりはどのようにお考えでしょうか?



GCP X / 阿部 :レイヤーの話に加えて、教えてくれる人がまわりにいるかの話があると思います。


まずレイヤーの話ですが、たとえば営業部長の肩書きでアーリー期の会社に入るか、レイター期の会社に入るかで、それぞれ求められることが変わると思います。アーリー期の会社の場合は、おそらく営業組織は3人くらい。組織を立ち上げ、モノをつくり、仕組みをつくることが求められます。レイター期の会社に入ったら、求められるのは50人くらいの営業組織のマネジメントになります。


営業メンバーで入社するときは、教えてくれる人がいるかがポイントになると思います。アーリー期だと個々人とのやり取りが濃く、多いです。仕組みがなく、営業のケーススタディもない。自分たちでどうにかするしかありません。


レイター期の場合は、数十人の営業組織があります。お手本になるかっこいいリーダーやマネージャーがいて、先輩のロールモデルがあります。これから先の数年で得られる経験がある程度可視化されています。そういう意味では、どのレイヤーでスタートアップに入社するのかや、教えてくれる人がまわりにいるかで、求められるスキルやパフォーマンスは大きく異なると思います。



GCP X / 水野 :個人的には、できるだけ早いフェーズのスタートアップに入った方が、いろんなことがやりやすいと考えています。リーダーやマネージャークラスになると、スタートアップに転職してもいきなりマネジメントポジションになることはほとんどありません。3人くらいの営業組織だと、前職でのレイヤーがどうであれ、みんなプレイヤーとして営業をするので。



GCP X / 阿部 :年齢との差分もありますね。「3年後にCOOになりたい」「5年後になりたい」「10年後でもいい」とか、いろいろあると思いますが、ご自身の目指すポジションがあって、自分のタイムラインとどう結びつけて考えているか。


23歳の人にとっては、3年後でも26歳じゃないですか。その場合、ユニコーン企業のCOOなのか、中小企業のCOOなのかで、求められることは全然違います。ゴールから逆算したときに、描いているゴールに対して最も端的に到達できる選択肢はどれか?という考え方もあると思っています。これはキャリア形成という観点で重要だと思いますね。

採用する側が選考で気にするポイント


▶︎ レジュメで注目するのは?


depcoa / 水野 :次は選考プロセスにおけるポイントについてお聞きしたいです。たとえば、「レジュメではここに注目している」などありますか?



GCP X / 水野 :私はハイレイヤーの選考に特化しているので、その前提を置いた上でになりますが、注目するのは履歴書です。職務経歴書は、そこまでじっくり読み込まないというのが本音ですね。


職務経歴書にこれまでのご経験をすべて細かく記載されているものがありますが、採用する側で全部に目を通している人は少ないのではないでしょうか。たとえば5社経験などの場合、1社目や2社目の詳細な経歴は書かなくてもいいくらいだと個人的には思っています。


何が言いたいかというと、目的に合わせてアピールすべき内容を取捨選択できていることが大事だということです。書類のできるだけ早い段階で、「私はこれができます」「この部分で応募企業に貢献できます」といった内容を端的に記載していただけると、選考する側としては非常にありがたいと思っています。



GCP X / 阿部 :客観的に物事を考えられる方のレジュメは、端的にまとめてあって短いという共通点があると思います。外資系の場合は履歴書すらなくて、職務経歴書が1枚とかですが、そのぶん客観的に見た時のご自身の強みが整理されていたり、アピールすべきことに絞って書いてあるのでわかりやすいと思いますね。



▶︎ 面接で確認することは?


depcoa / 水野 :面接はいかがでしょうか?おふたりの場合、候補者の方とお会いして、その後に投資先企業の面接という流れかと思うのですが。



GCP X / 水野 :私は「何を、誰に、どうやって売っているのか」をすごく細かく聞いています。プロダクトによってカウンターパートが異なるので、それぞれのカウンターパートに対して、どういうプロセスで売っているのかを確認しますね。ハイレイヤーの候補者の方であれば、「なぜそのプロセスにしているのか」もお聞きしています。


受注までのリードタイムや、ゴールに対してどういう思考プロセスで営業しているのかも確認しています。ご本人の感情が見えるところまで掘り下げていくような感じです。


GCPは投資先がたくさんあり、投資先ごとに「これができる人が欲しい」という属性があります。属性に合わせて候補者の方を分類していく必要があるため、かなり細かく聞いていますね。



depcoa / 水野 :経験値については掘り下げることで細かく把握できそうですね。マインドについては、どうやって確認していますか?



GCP X / 阿部 :マインドや考え方については、「なぜ転職したんですか?」「なぜ今回転職を考えたんですか?」と質問することで把握できると考えています。極端ですが、「お給料が欲しいんだな」とか「ポジションの優先順位が高いんだな」などはすぐにわかりますね。他にも「自分に足りない経験やスキルを転職によって埋めていくことにやり甲斐を感じるタイプだな」というのもわかります。



GCP X / 水野 :私は「御社はいまどうですか?」と質問することが多いです。「あなたの会社は」とか「あなたが所属している部署は」といった主語を置かずに質問しています。どんな回答でも正解なのですが、普段どのような目線で物事を捉えているのかがわかると考えています。


「自分のチームはいまこうなっていて」という話をする方もいらっしゃいます。その場合は、「もうちょっと広い視点で物事を見たほうがいいな」と思ったりします。あとは、私の質問の意図を想像して内容を考える方もいます。この場合は、「相手に合わせて会話を構築できるんだな」という評価になります。



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