ThinkD
トップTOP RUNNERS会食ナレッジ Vol.1
TOP RUNNERSVol.1

渡邉 華織

ホスピタリティのプロと一緒に考える、ビジネスシーンで活用できる「手土産」と「会食」のイロイロ。

コロナ禍以降、再び対面での商談や会食の機会が増え、リアルなやり取りの場が今まで以上に重要性を増しているように感じます。そんな背景を受け、3万7,000人以上の秘書会員を持つ、ぐるなび『こちら秘書室』の担当室長を務め、秘書応援コミュニティ『セクレタリーズ』のアドバイザーでもある渡邉華織さんに、ビジネスパーソンが押さえておくべき手土産や会食のポイントについて伺いました。

ホスピタリティのプロと一緒に考える、ビジネスシーンで活用できる「手土産」と「会食」のイロイロ。
渡邉 華織

渡邉 華織

セクレタリーズ アドバイザー

秘書歴20年以上。秘書時代は、大手企業の会長・社長秘書を歴任。3万7,000人以上の秘書会員を持つぐるなびの『こちら秘書室』の担当室長としてコミュニティをまとめ、ぐるなび退職後は秘書に特化した『セクレタリーズ』を運営。エグゼクティブや秘書会員向けセミナー・イベントを開催するほか、地方自治体、百貨店、手土産事業者とのタイアップ企画、ビジネスパーソン向けセミナー、ダイバーシティの事業推進のサポートなどを手掛ける。テレビ朝日「七人の秘書」の秘書監修。2025年2月には「好かれる人のさり気ない気配り100式」を上梓。

詳細はこちら
水野 歩

水野 歩

株式会社ディプコア 代表取締役CEO

2003年にエン・ジャパン株式会社に入社し、法人営業としてキャリアをスタート。当時最年少で神戸支社長・中国の現地法人副社長、本社営業部長などを歴任し、社長賞・社長賞特別賞・ベストマネージャー賞などを受賞。エンワールド・ジャパン株式会社に転籍後、日系スタートアップやグローバル日系企業に特化した人材紹介事業を立ち上げ、営業部長と事業開発部長を歴任。個人でも総粗利実績は500,000,000円以上。年間売上1位・年間決定数1位を獲得。2022年より株式会社ディプコアの代表として同社を牽引している。中小企業診断士、事業承継士。日本酒と焼き鳥と筋トレが趣味でBIG3は456kg。

詳細はこちら



水野 :本日はお時間をいただきありがとうございます。AIなどテクノロジーが進化しても、顔と顔を合わせたリアルなつながりや先方への思いやりといった「人間と人間のつきあい」はなくならないと考えています。そこで今回は、「好かれる人のさりげない気配り100式」などのご著書をお持ちの渡邉さんに、ビジネスシーンで活用できる手土産や会食のポイントについてお話をお聞きしていきます。


ビジネスシーンで活用できる「手土産」のイロイロ

▶︎ 会社訪問編:ポイントは「カジュアルさ」

水野 :まずは「手土産」をテーマにしたいと思います。ビジネスにおいて手土産をお渡しするのは、どのようなシチュエーションが考えられますか?たとえば会社訪問時に喜ばれるのはどういった手土産でしょうか?



渡邉 :そうですね。形式的な場ではなく、カジュアルなところで「ちょっとした気持ちです」という感じでお渡しできるものが良いと思います。そうすることで、先方の印象に残ったりしますから。

たとえば、先方のオフィスを訪問する際に、「途中で美味しそうなお菓子を見つけたので買ってきました」とお渡しする。金額は、500円でも1,000円でも良いと思います。金額の大小ではなく、「自分のことを考えてくれたんだ」というだけで嬉しいものですから。

役職者同士の会食だったり、表敬訪問の際には、手土産を持参すると思いますが、それは形式的なものですから、当たり前といえば当たり前です。一方で、普通の商談の際にお持ちすれば、ある意味で意外性を発揮すると言いますか、より印象的なのではないかと思います。



水野 :なるほど。ちなみにですが、ご自身が受け取った手土産で印象に残っているものや嬉しかったものはありますか?



渡邉 :親しい会社さんや知人からいただいたもので嬉しかったのは、ドーナツやシュークリームでしょうか。そういったものを、ちょっと小腹が空く時間帯に持ってきていただけるとお心遣いが嬉しいなと思います。

高額なものだとこちらも少し構えてしまいますが、ドーナツやシュークリームであれば、そこまで心理的な負担になりません。お値段が張らないチェーン店のものならカジュアルな感じが出ますし、いただいた方も「久しぶりに食べる」とか「昔からこれが好きだった」といった懐かしさもあったりして、けっこう盛り上がります。

手土産を選ぶ際には、買うのが難しい人気の商品を持参して「わざわざ感」を出すこともありますが、みんながカジュアルに楽しめるもので「お手軽感」を出すのも大事なポイントだと思います。



水野 :確かにそうですね。飾りすぎない感じが逆に良かったりするのでしょうか?



渡邉 :そうですね。もちろん、お相手の方との関係性や先方のオフィスの雰囲気にもよりますが、「コンビニスイーツで新作が出ていたので」や「ちょっと小腹が空く時間だと思ったのでよろしければ」という感じであれば、自然体ですから、先方も肩肘張らずに受け取れると思います。

ケーキ屋さんのケーキだと個包装になっていなかったり、いただく際にフォークが必要だったりします。でも、コンビニのスイーツであれば個包装だから配りやすいですし、冷蔵庫に入れておけば時間がたっても召し上がっていただけたりします。そういう手軽にいただけるところもポイントになるのではないでしょうか。あとは、いただくときに粉が散ったり、こぼれやすいタイプのものは、オフィスへの手土産としては不向きなので避けたいですね。



水野 :ありがとうございます。何を持参するのかと同じくらい「先方との関係性」も大事な要素だと思いました。



渡邉 :おっしゃる通りです。仕事上で「このお客様とは親しくなりたい」というケースがあると思いますが、だからといって、初回訪問から手土産を持参するのはありえないと思います。お互いに気心が知れていて、もう手土産を渡すような関係ではないというときに、あえてカジュアルな感じでお持ちするとさらに印象が良くなったり、お相手の方に喜んでいただけるのではないでしょうか。

水野 :細かな部分ですが、手土産を持参するときの包装で気をつけることはありますか?



渡邉 :カジュアルな手土産をお持ちする際は、変にかしこまらず、お店の袋のままで良いと思います。それだけ親しい関係性を築けているということで、「ちょっとそこで買ってきました」と気軽さをアピールすることにもなりますから。

それに、気持ちがこもっていれば包装にそこまでこだわらなくてもいいと思います。実際に私が過去にいただいたものでうれしかった手土産は、普通のビニール袋に入っていましたから。いただく際に、「家の近くにおいしいたい焼き屋さんがあって、そこのたい焼きを食べて欲しくて持ってきました」という一言を添えてくださいました。ほかにも、「近所に人気の和菓子屋さんがあっていつもすぐ売り切れてしまうのですが、今日は買えたので持ってきました」とか。

そういう言葉と一緒であれば、たとえ包装が普通のビニール袋でも関係なく嬉しいですよね。見た目も大切ですけど、「なぜこの手土産を持ってきたのか」を言葉にすることで、お相手の方に気持ちを伝えることが一番重要だと思います。

たとえば、営業の方だと、仲の良い取引先に訪問するときにパパッと買っていけるものがあると良いですよね。そういう意味で、ご自宅の周辺や最寄駅から取引先へ伺う途中にどんなお店があるのかは、普段からチェックしておくと良いと思います。

あとは、アポイントを調整してくださる秘書の方がいる場合は、「いつもありがとうございます」と手土産をお渡しするのも良いですよね。そういった気遣いができる人は秘書の方にとっても印象に残りますし、他の会社さんとバッティングしたときに優先してくれることがあるかもしれませんから。

「ポイントを稼いでいるな」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ビジネスは人間と人間のやり取りなので、お相手の方に気を遣えることは何も悪いことではないと思います。もちろん、値段が張るものはお相手の方にとって重たく感じられるので、あくまでもカジュアルなものが良いと思います。



水野 :これまでたくさんの企業に訪問してきましたが、お話を伺っていると「もっと気軽に買っていけば良かった」と思いました(笑)。



▶︎ ホームパーティー編:意外と喜ばれるのは、「軽めの主食になるようなもの」



水野 :同じ手土産でも、次は少し視点を変えてお聞きします。ビジネスシーンとは異なり、プライベートでホームパーティに招待していただくこともあると思います。そのようなシチュエーションで、手土産を選ぶ際のポイントがあれば教えてください。



渡邉 :ちなみにですが、そういうときは何を持っていくことが多いですか?



水野 :ワインやシャンパンを買っていくことが多いです。



渡邉 :それは良いですね。お酒を手土産にするのは、王道だと思います。その会に参加される方全員がお酒が好きならそれで良いと思いますが、お酒を飲まない方がいらっしゃる場合もありますよね。そういう場合は、アルコールフリーのワインやシャンパンをお持ちするのも良いと思います。

あとは、少し高級な水出しコーヒーやお茶も喜ばれるのではないでしょうか。ソフトドリンクのちょっと高級なバージョンです。お酒に少し飽きたタイミングや、最後に飲む一杯のために、そういった飲み物を用意してあると、最後まで特別感のあるものが楽しめると思います。

飲み物以外の手土産だと、私の場合はサンドイッチや天むすを持っていきます。食べ物の手土産だと、どうしてもお酒のつまみになるものやサラダやオードブルが多いと思います。最初はそれで盛り上がれるのですが、おしゃべりをしていると、パーティの終盤でちょっと小腹が空くタイミングがあるんですよね。

そういうときに、最後の締めでサンドイッチや天むすみたいな軽めの主食のようなものがあると、結構喜んでいただけます。小さなおいなりさんなども良いと思います。



水野 :最後の締めという意味だと、アイスやプリンやゼリーといったデザートはどうでしょうか?小ぶりのカップアイスを持ってきている人がいて、「良いチョイスだな」と思ったことがあります。



渡邉 :ホストのお宅の冷凍庫にスペースがあれば、カップアイスは良いですよね。冷蔵庫や冷凍庫に入れておくものを持っていきたい場合は、事前にホストにスペースの確認をすると確実です。ただ、「人様のお宅の冷蔵庫事情を聞くのはちょっと気が引ける」という場合は、保冷剤を入れたクーラーバッグを持参するのもアリだと思います。

アイスやプリンやゼリーの場合はスプーンが必要になるので、ホストの方に手間をかけさせたくないのであれば、一口サイズのアイスが個包装になったものや小ぶりのシュークリームなどがおすすめですね。いろんな種類を少し多めに買っていき、大きなお皿で出していただければ、それだけで見栄えがします。すぐ口に入れられるから手軽ですし、良いと思います。



▶︎ お中元・お歳暮編:お贈りする際は、事前の確認を



水野 :ビジネスシーンでの贈り物として、お中元やお歳暮もありますよね。



渡邉 :そうですね。ただ、今はそういったものは受け取らない、会社としてNGにしているという企業様が増えてきています。そのため、お贈りしたい場合は、必ず事前に確認することをおすすめします。

受け取らないと決めているのにお中元やお歳暮が届くと、たとえば大手企業の場合は、秘書の方がお礼状を添えて返納することが多いです。先方に手間をかけさせてしまったりするので、贈り物を受け取っていただけるかは事前に確認しておいたほうが良いです。

また、贈っても大丈夫となった場合は、先方の住所をちゃんと確認することがポイントです。お中元であれば、東日本は6月下旬から7月半ばくらいまで、西日本は7月半ばから8月半ばくらいまでにお送りするのが一般的だと言われています。送り先がどのエリアに属するのかによってタイミングが変わりますから、事前にちゃんと確認しておきましょう。

お歳暮の場合は12月の上旬から20日ごろまでが一般的ですが、私はできるだけ早く送るようにしています。というのも、12月の後半は年末で忙しくしている企業様が多いので、なるべく早いほうが良いと思っています。



水野 :なるほど。先方企業の状況を事前に把握しておかないと、ご迷惑になるかもしれないということですね。



渡邉 :ちなみに、お中元やお歳暮に代わるものとして、新たに「サマーギフト」や「ウインターギフト」という言葉が出てきたことをご存知ですか? これはお中元やお歳暮よりもカジュアルなもので、親しい方へのちょっとした贈り物であったり、自分自身へのご褒美も含めて、そこまで肩肘を張らなくて良い身近なギフトとして登場しました。

もちろん、お中元やお歳暮を贈り合う文化がなくなったわけではありません。いまでも百貨店の売り場に行くといろんな商品が並んでいます。興味深いのは、おひとり様用コーナーがあることです。たとえばお歳暮だと、以前はご家族で召し上がっていただくためにハムの詰め合わせなどが多かったのですが、いまは核家族化や単身家族化が進んでいるのでおひとり様用コーナーがあります。

贈り物も時代に合わせていろいろと変化していきます。そういった移り変わりを知るだけでも、ビジネスシーンで何かの役に立つかもしれません。



▶︎ 謝罪編:手間をかけるよりスピード重視。「トラディショナルでオーソドックス」がポイント



水野 :続いてですが、謝罪の際にお持ちする手土産についてもお聞きしたいです。「どういったものが良い」とか、「こういうものは避けましょう」とか、ございますか?



渡邉 :絶対に避けたほうがいいのは、華美な包装紙ですよね。見た目の華やかさは本当に二の次で、トラディショナルなものと言いますか、オーソドックスなものにするべきです。また、お菓子などであれば日持ちするものよりも一定期間以内に消費できるものをお勧めします。

あとは、「手間をかけて買ってきました」というよりも、「急いで駆けつける途中で買ってきました」というものの方が良いと思います。謝罪はスピードが一番大切ですから、「何時間も並んで話題の商品を買ってきました」などは本当に意味がありません。



水野 :一定期間以内に消費できるものが良いのは、なぜなのでしょうか?



渡邉 :謝罪の品がお手元にずっと残っているのは、先方にとってあまりよろしくないからです。嫌な思い出やつらいことは早く忘れてしまいたいですよね。なので、お詫びの気持ちをお伝えし、後に引きずることなくスパッと終わりにしていただくほうが良いと思います。目安としては、消費期限が1週間や10日間くらいのものがお勧めです。

あと、謝罪のときに必ずと言っていいほど出てくるのが新正堂さんの「切腹最中」ですが、基本的に避けたほうが良いと思います。江戸時代ではないので、謝罪で切腹って行き過ぎた表現になってしまいますから。ユーモアとして受け取ってくださる先方ならまだしも、本当の謝罪であればちゃんと考えて決めるべきだと思います。もちろん、「切腹最中」という商品が悪いわけではないです。先方との関係性や謝罪のレベルをしっかり考えないといけない、という話です。



水野 :本当の謝罪の際には、どういうものをお持ちするのが良いでしょうか?



渡邉 :トラディショナルでオーソドックスなものが良いと思います。それこそ、とらやさんの羊羹やヨックモックさんのクッキーなどでしょうか。おせんべいなどでも良いと思いますが、気をつけたいのは見た目ですね。いまはおせんべいでもカラフルでかわいらしい詰め合わせがあったりします。お詫びの品ですから、できるだけシンプルなものを選ぶのが良いと思います。



▶︎ お祝い編:シチュエーションによって様々。贈り先の方について深く考えることが重要



水野 :最後にお祝いのときの手土産についてです。結婚祝いや出産祝い、昇進や栄転など、いろんなお祝いの機会があると思います。



渡邉 :これは本当にシチュエーションが様々ですよね。たとえば会社を設立したとか、店舗を開店した際などは、胡蝶蘭に代表される祝い花をお贈りすることが多いですよね。「役員に就任することになりました」というケースだと、ニュースリリースが出たときではなくて着任する株主総会の日にお贈りしたりします。

お花を贈るにしても、先方のオフィスの広さやタイミングによって、胡蝶蘭が良いか、切花が良いか考えます。「これ」という正解を出すのは難しくて、やはりシチュエーションによって変わってくると思いますね。

水野 :確かにそうですね。では、シチュエーションを限定した上で、お勧めの手土産はありますか?



渡邉 :少し限定的になってしまいますが、海外の方にお祝いの品をお渡しするとしましょう。海外の方はご家族をとても大事にされる傾向にあると思います。そして、ご本人はいろんな国で仕事をしていて、奥様は自分の国にとどまっていらっしゃることがあります。そういうときは、奥様向けの贈り物などは喜んでいただけると思います。

たとえば、お名前を入れた伝統工芸品は人気だと思います。海外の方がおもしろいのは、お皿を小物入れにしたり、湯呑みを一輪挿しにしたり、その方の感性で使い方をアレンジするところです。伝統的な和食器であっても、現代作家さんがつくったモダンなものをお贈りするとすごく喜んでいただけますね。

奥様への贈り物であれば、日本のメジャーなブランドの化粧品も人気だと思います。日本にしか売っていないものもありますから、そういう商品を探してお贈りするのは良いと思います。

あと、これも海外の方に向けた贈り物になってしまうのですが、お菓子もとても喜ばれると思います。最近だと日本の抹茶がとてもブームなので、抹茶味のチョコレートなどはすごく人気ですよね。ドラッグストアや量販店でファミリータイプのものをいくつか買って、そのままお渡ししてもすごく喜んでいただけました。

ポイントは、お相手の方に興味を持ち、その方について深く知る努力をすることだと思います。その方のご経歴やキャラクター、家族構成、好きな食べ物や飲み物、何に興味をお持ちなのか。そういうことをちゃんと把握しておいた上で、最後にいまのトレンドを掛け合わせるという感じでしょうか。

先ほど抹茶がブームと言いましたが、流行しているからといって抹茶が苦手な方もいらっしゃいます。お相手の方の顔を思い浮かべながら「何をお渡しすれば喜んでいただけるだろうか?」と考えてみることが、一番大切なんだと思います。



ビジネスシーンで活用できる「会食」のイロイロ



水野 :続いては、会食をテーマにしたいと思います。こちらからお声がけすることもあれば、お誘いいただくこともあります。まずは、こちらからお声がけするシチュエーションを想定してお聞きしたいです。


▶︎ 予約編:駅からの距離や部屋の大きさは要確認。できれば下見を




水野 :会食のお店を予約する時の注意点があれば教えてください。



渡邉 :私なりの結論を先にお伝えすると、当然されている方もいらっしゃると思いますが、できれば「下見をしましょう」ということです。会食相手によって選ぶお店は変わると思いますが、初めてのお店を使う場合は事前の下見をお勧めします。

たとえば遠方からいらっしゃった方と会食する場合、お相手の方は土地勘がないですよね。そのため、できるだけ見つけやすい立地のお店が良いです。会食後に地元にお戻りになることもあるので、最寄り駅からのアクセスには気を配りたいですし、新幹線が止まる駅から近いこともポイントになると思います。

参加される方の中に女性がいらっしゃる場合は、お店までの道順にも注意が必要です。たとえば繁華街の中にあるお店や街灯が少ない通りにあるお店の場合は、安全上の観点で女性が参加される会食にはあまり向いていないのではないでしょうか。

お店が決まったとしても、事前にチェックしておくべきことはたくさんあります。時には一軒家のお店があったりしますよね。すごく素敵なお庭をお持ちのお店だと、門からお店の入り口までが石畳になっていることもあります。雰囲気があって非常に良いと思うのですが、石畳の場合は雨のときに滑ったりするので注意が必要です。お部屋までのアプローチが長いお店や、お部屋までの導線に段差が多いお店もあります。足が不自由な方もいらっしゃいますので、「ご負担にならないだろうか」という観点で配慮が必要なポイントだと思います。

お部屋の注意点としては、たとえばサイズは気にしておきたいところです。お店のホームページだと、「4人部屋」や「6人部屋」と書いてありますが、中には「これで4人部屋?」というサイズのお部屋もあります。お食事と会話を楽しめるように、多少ゆとりのあるサイズかどうかは確認しておきたいところです。

あとは壁が薄くないか。それに、壁に仕切られているけれど天井がつながっていることもあるので、大事な話をしたい場合は、こちらも事前に確認することをお勧めします。



水野 :そうなると、事前に下見をするのが一番良さそうですね。



渡邉 :理想はそうだと思います。ただ、どうしても下見の時間を確保することが難しい場合もあると思います。そういうときは、電話で確認するようにしています。たとえばお部屋について確認したい場合は、「ホームページだと4人部屋ということですが、ちょっと大柄な4人でも大丈夫でしょうか?」だったり、「声が漏れると困るので、部屋の中の会話は外に聞こえないでしょうか?」という具合です。

お店の方と会話をすると、その方の対応で「このお店は慣れているな」とか、「大丈夫そうだな」とわかると思います。逆に、「ちょっと感じが悪いな」と思えば、今回はそのお店はパスすれば良いと思います。一番避けたいのは、ネット予約だけで済ませることでしょうか。当日現地に行って「こんなはずじゃなかった」となるのはお相手の方にも失礼ですから。



▶︎ お料理・お酒編:好みやアレルギーの有無は事前確認



水野 :過去の失敗談なのですが、何度かお会いしていたお客様を私の上司に紹介する機会がありました。そこで私が予約したのはブリティッシュバーのようなお店で、出てきた料理はサラダとフィッシュ&チップスのような揚げ物ばかりでした。

後から上司に「料理が偏っていたけど先方の好みは?把握できていなかったのなら、いろんな種類が少しずつ出てくるお店にするとか、ちゃんと考えろよ」と怒られました。こういう失敗を避けるために、会食時のお料理やお酒に関するポイントがあれば教えてください。



渡邉 :人数にもよりますが、2人や3人といった少人数の場合は、事前にある程度聞いておくべきだと思います。食べ物や飲み物の好き嫌いやアレルギーの有無は、押さえておきたいですよね。そこそこの人数の場合はすべてのニーズを満たすことが難しくなりますから、いろんなジャンルのお料理やお酒を楽しめるお店にするのが良いと思います。



水野 :なるほど。お酒についての細かい話なのですが、「次はどうします?」と促すタイミングが難しいと感じています。先方がどれくらい飲んだときにお声がけするのが良いのでしょうか?



渡邉 :これはお相手の方の好みもあるので、「こうすればOK」という模範解答はないと思います。「自分のグラスを気にしてくれているな。ありがたいな」と捉える方もいますし、「全部飲み切ってから次を考えたい」という方もいます。「最初はビールで、次からはハイボール」という方もいれば、「好きだからずっとビール」という方もいます。お相手の方がどういうタイプなのかを事前に確認するのはちょっと変ですから、会話のきっかけにするのが良いのではないでしょうか。

個人的に気をつけているのは、氷が入っている飲み物の場合です。明らかに薄くなっているときは早めにお声がけするようにしていますね。私の中の目安としては、3分の1くらいになったら「次はどうされますか?」とお聞きするようにしています。

お酒についてはコストも気になるポイントだと思います。役員クラスの会食だと、良いワインを入れたりしても、ゲストはそこまでコストを気にしないと思います。ただ、一般的には金額を気にする方の方が多いのではないでしょうか。ゲストの立場だとなおさらだと思います。「気にせず飲んでくださいと言われているけど、高くなりすぎると申し訳ない」と気を遣わせてしまう。

そういうときは、自分がホストの立場であればお店と交渉するようにしています。「1人当たり、飲み物を入れてこれくらいの予算でお願いします」だったり「飲み物は飲み放題にしていただけませんか?」という具合です。事前にお酒の好みがわかっていれば、ある程度種類を絞ることで飲み放題にしていただけるお店もあります。



水野 :そういうやり方もあるのですね。勉強になります。各論で恐縮ですが、ワインについても教えてください。先方がボトルを頼んでワインを飲んでいる場合、完全に無くなってから「次はどうしますか?」とお聞きするのが良いのか、残りがあと少しになったらお聞きするのが良いのか、どうなのでしょうか?



渡邉 :ボトルを頼んで開けているのなら、同じものを召し上がると思いますので、あとはタイミングですよね。私の場合は、お店の方にお任せすることが多いです。お店の方がボトルを開けてくださる時に、「お任せするので、なくなったタイミングでみなさんに注いでいただけますか?」というふうにお願いしてしまいます。そうすればこちらも会話に集中できますから。それなりのお店であれば対応いただけるので、よろしければやってみてください。



▶︎ 会計編:ゲストやお店に状況を確認した上で、スマートに




水野 :会食の際に気をつかうのが、お会計です。ホストとして会食をする際は、ゲストの方や自分がお手洗いに立った時に、会計を済ませてしまうことが多いです。「払いますよ」と言っていただくのですが、「今後もご一緒したいので、次回お願いします」みたいな感じにしています。これは上司からの教えなのですが、会計時はどのようなことに注意すれば良いでしょうか?



渡邉 :お手洗いに立った際に済ませてしまうというのは、スタンダードなやり方だと思います。ただ、そのやり方だと、会計のことが気になってしまい、会話に集中できないこともあるかと思います。そういう場合は、あらかじめお店の方に「今日はお客様をお見送りしてから会計させていただきます」と伝えておくと良いです。お店を出たところまでお見送りし、その後に自分だけお店に戻ってお会計するというやり方です。

また、会計については厳格なルールを設定する会社が増えてきました。こちらがホストなのでそのまま会計を済ませようとすると、「割り勘じゃないとダメなんです」と言われてしまうことがあると思います。そういう場合は、お相手の方のご事情を優先して、割り勘にするのが妥当だと思います。

スマートに会計をしたい場合は、お店側に確認した上で請求書払いにしていただくというやり方もあります。大手企業の方と会食に行ったりすると、初めてのお店であっても請求書対応をしてくださることがあります。そのため、事前に対応可能かお店側に確認しておくと良いと思います。そうすれば、会食の最後まで会話に集中できます。

一定以上のグレードのお店であったり、ホテルの中のレストランでは、請求書払いにしてくださるお店があります。事前に確認をした上で、お店に名刺をお渡ししておくと、会社でよく利用するお店の場合は、1ヶ月分まとめて会社宛に請求書を送ってくれたりします。

個人的に親しくしているお店であれば、「まとめて請求書払いにしたいのですが可能ですか?」と確認してみるのが良いと思います。会社のルールやお店との関係性などが影響してくるので、確認をした上で検討してみると良いのではないでしょうか。



まとめ



水野 :手土産と会食をテーマに、ビジネスパーソンにとって役立つ情報をいろいろと教えていただきました。ありがとうございました。最後にまとめをお願いします。



渡邉 :まずは、難しく考えすぎず、自分の身の丈にあったところからチャレンジしてみるのが良いと思います。工夫をこらすことで、できることってたくさんあると思うので。

これは特に若いビジネスパーソンの方に向けてなのですが、「仕事以外での人との差別化って何ができるだろう?」と考えてみるのも良いと思います。年齢を重ねていくと、能力や実績などで少しずつ差がついてきます。でも、若い方の場合、まわりは同じタイミングで社会に出た人ばかりだと思います。

数十人、数百人と同期がいる場合、仕事の進め方や成果で差別化するのは簡単じゃないと思います。じゃあ、仕事以外で差別化するには?と考えると、そのひとつが「お相手の方に喜んでいただくにはどうすればいいか」という気遣いやホスピタリティの部分だと思います。今日のお話が、そういったヒューマンスキルを磨くための一助になれば、とてもうれしいです。



水野 :本日は貴重なお話をありがとうございました!



この記事をシェア