はじめに
株式会社アンドパッドで、CRE(※)のマネージャーを務めていた杉本様。先々のキャリアを考えたときに、「同じ環境でずっとがんばっていくか」「新しい環境に挑戦するか」の二つの選択肢がありました。
客観的な意見を聞きたいという理由から、エージェントサービスを利用。ご自身が大切にしたい仕事の軸についてもフラットな視点からアドバイスを受け、その上で「新しい環境に挑戦する」と意思決定。2025年12月、株式会社ヘンリーにご入社されました。
(※)CRE:Customer Reliability Engineerの略。技術力を駆使してサポート対応や製品改善を行い、顧客満足度とプロダクトの信頼性を向上させる役割を担う職種。2016年にGoogleによって提唱された比較的新しい専門職。
転職前の状況
前職での業務内容について教えてください。
アンドパッドという会社で、CREチームのマネージャーとして仕事をしていました。CREは縁の下の力持ちのような存在だと思っていて、プロダクトのユーザーである顧客と自社の開発部門の間に立ち、顧客の声を早期に開発部門にフィードバックすることで顧客満足度を高め、プロダクトの信頼性を向上させる仕事です。
プロダクトの信頼性を向上させるために、現場で起きているちょっとしたお困りごとに対して「なぜそれが起きているのか」「どうすれば今後起きなくなるか」を検討して改善していくのですが、不便が解消されたり、仕事の効率が上がるので、現場の負担を軽減できることがやりがいでした。わかりやすく便利になるため、感謝の声をいただけることもうれしかったです。
仕事が充実していたにも関わらず、転職を考え始めたきっかけは何なのでしょうか?
年齢的な理由が大きかったと思います。30代半ばでマネージャーになり、いろんなチャレンジをさせてもらっていました。どういう組織をつくっていくかを考えるにあたり、他社のこともいろいろと勉強してみようと考え、いろんな企業とカジュアル面談をさせてもらっていました。1年半くらい情報収集を続けていたのですが、過去にカジュアル面談をさせていただいた企業の方から、久しぶりに連絡をいただいたんです。
「最近どうですか?またお話しませんか?」という連絡で、お話をしてみると、ちょうどCRE組織の立ち上げを検討しているということでした。アンドパッドでは他の方が立ち上げた組織を育てていく役割でしたが、「自分でゼロから立ち上げるとなったらどんな組織にするだろう?」と考えるようになり、次第に興味を持つようになっていきました。
それが「年齢的な理由」とどのように関係していくのでしょうか?
子育てをしながら働いているので、仕事に投資できる時間や先々の自分のキャリアについて考えると、一度真剣に考えるタイミングだと思ったんです。40歳を過ぎても同じ環境でがんばるなら、その中でどのようにキャリアアップしていくのか。あるいは、別の環境に挑戦するとしたら、早めに行動を始めたほうがいいのではないか。どちらにせよ、いろいろなキャッチアップが必要なはずで、しっかりとキャッチアップをするなら30代のうちに始めないといけないと考えていました。

前職については、会社の規模が大きくなるにつれて、組織としての慎重さや多角的な合意形成が必要なフェーズに入ったと感じていました。これは組織が成熟したからこその変化だと思いますが、私自身のやりたいスピード感との乖離を少しずつ感じるようになっていました。
任せてもらっていた組織も、最初は2〜3人だったところが10人以上になりました。メンバーも育ってきたので「みんながいるから大丈夫かな」という気持ちもありました。そこで久しぶりに連絡をくださった企業に連絡をして、選考を受けさせてもらうことにしました。
転職活動について
元々つながりがあった企業以外の選考は受けなかったのでしょうか?
むやみに新しい選択肢を増やすことはしませんでした。ただ、「本当にこの進め方でいいのかな」という不安があり、客観的な視点でアドバイスが欲しいという気持ちがありました。そんなときに、ディプコアのコンサルタントから連絡をいただいたんです。ちょうど良いタイミングでした。
他にもいろいろなエージェントがありますが。
小さな子どもがいて、時間を確保することが難しかったので、他のエージェントには相談しませんでした。自分で企業の選考を受けつつ、ディプコアのコンサルタントとキャリア相談をするというやり方で転職活動を進めていきました。
キャリア相談をしてみて、いかがでしたか?
すごく満足していますし、感謝しています。選考中の企業があったので、最初は「こういうキャリアを考えています」と話を聞いてもらうだけかなと思っていました。でも、想像していた以上に私のキャリアについて一緒に深く考えてくださり、アドバイスをしていただきました。アドバイスの中には「現職に残る」という選択肢も含まれていて、とても印象的でした。
転職支援コンサルタントのアドバイスが「現職に残る」とは、珍しいですね。
そうですね。アンドパッドという会社やマネージャーというポジションは、客観的に見ると魅力的であること。それに、「CREをいま以上に魅力的な職種にしたい」「この仕事のおもしろさをもっと世の中に発信していきたい」という私の想いを考えると、いまの環境もキャリアの選択肢として非常に価値があること。そういう理由で、ディプコアのコンサルタントからは「現職に残ることも選択肢に入れたほうがいい」というアドバイスをいただきました。
加えて、会話の中で視野も広げてもらえたと思っています。私はCREという仕事にとても愛着があるので、どうしてもそこしか見ていなかったと思うんです。日本では少しずつ広がってきているけれど、まだまだマイナーな職種であるという前提が抜けてしまいやすいというか。だから、「もしも1年後や3年後に、CREという職種がなくなったとしたら、杉本さんはどうしますか?」と聞かれたときにドキッとしました。
そこから、CREに限らず、いま足りないと感じているスキルを伸ばすにはどうすればいいかだったり、抽象度が高くてもいいから今後やりたいことについて考えてみるだったり、自分のキャリアを豊かにするためにはどのような可能性があるかを、少し広い範囲で考えるようになりました。おかげで、判断軸が増えたように思います。
広い視野でキャリアについて考えたときに、大切にしたい軸は見つかりましたか?
はい。いろいろ考えてみた結果、やっぱり毎日の仕事がCREの魅力向上につながることが、私にとって大切にしたい軸でした。同時に少し抽象的ですが、「自分が社会に貢献できていると実感できるプロダクトであること」も大切なポイントでした。
その上で、現職に残ることも選択肢として残しつつ、他の企業の選考も受けていったという感じになります。
複数の選択肢がある中で、最終的にどれを選ぶのかは難しい選択だと思います。
その通りで、ディプコアのコンサルタントと何回電話したかわからないくらい、何度も相談していました。いただいたアドバイスに基づいて、重視する観点を決めて点数化し、そのスコアで比較検討していきました。
私は地方在住なので、フルリモートができる職場を希望していました。また、子どもが小さいこともあり、フレックスである程度の自由がきくこともポイントでした。裁量も大きいほうがありがたいので、それらをスコア化するときの観点として並べていきました。
そのときにいただいたアドバイスは、「将来も見たほうがいい」というものでした。CREという仕事は、会社が大きくならないとスケールしません。お客様が増えないと、満足度や信頼性を高めるCREの必要性が薄くなるからです。そのため、事業や企業の将来性という観点も追加し、スプレッドシートに書き出して比較検討していきました。
そのスコアでデジタルに意思決定したわけではないのですが、アウトプットして数字で比較するやり方はとても参考になったと思います。
なるほど。最終的にはどのように意思決定したのでしょうか?
選考体験が一番良かった株式会社ヘンリーに決めました。ディプコアから紹介いただいた企業なのですが、実はCREとは関係のないポジションで、「少しかすっているくらいかな?」という感じでした。
ただ選考のなかで、私がこれまでにやってきたこと、これからやっていきたいことをお伝えすると、「いまはCREというポジションはないけれど、新設してもいいかもしれない。社内で掛け合ってみます」と言ってくださったんです。
それはすごいですね。
私も「そんな柔軟な対応があるの?」と驚きました(笑)。代表である逆瀬川との面接では「人が組織をつくるから、それぞれの社員にやりたいことや適性に合った役割を任せていきたい。そうすることで、顧客に提供する価値を最大化したいと思っている」と言ってもらえました。
「社員一人ひとりをちゃんと見て、その上で組織づくりをしている会社なのかな」と思えて、それが決め手になりました。

現在の状況
入社から数ヶ月が経ったところだと思います。実際に働いてみて、いかがですか?
ヘンリーは小さな組織ですが、社内のコミュニケーション設計が驚くほどしっかりしています。フルリモート・フルフレックスで働いている人が多いのですが、それでも社内のやり取りは活発ですし、ちゃんと組織が回るように設計されていると思います。
たとえば、オンラインミーティングでは「画面をオンにして、お互いの顔を見ながら話しましょう」というルールがあったり、同期・非同期コミュニケーションの使い分けが明文化されています。暗黙の了解ではなく、誰でも見られる場所に言語化してあるので、すごく安心感につながりました。
それぞれの社員からのアウトプットも活発で、ドキュメントをあとからでもキャッチアップできるようになっています。発信する人がいて、それを社内で拡散する人もいます。人数の割に発信量が多いので、本当におもしろいと感じています。
ヘンリーは病院向けにレセコン一体型電子カルテを提供しているのですが、自治体ごとに医療費の仕組みが違います。また、制度は定期的に変更されるため、情報のアップデートがとても重要になります。そのため、「これは大切な情報だから、みんなちゃんと目を通しておきましょう」という文化があり、仕事をしていたらどこかで必ず大切な情報に触れるようになっています。この仕組みがつくられていること。そして、運用がちゃんと回っていることがとても良いなと感じています。
それは素晴らしいですね。環境を変えたことで、ご自身に何か変化はありましたか?
そうですね。前職もスタートアップだったのですが、人数規模が違うためヘンリーの方がよりダイレクトに自分の仕事に対するリアクションを感じています。規模が小さいと、自分のひとつの行動がいろんな人に影響を与えている感覚があり、それがとても楽しいです。「打てば響く」という感じです。
ヘンリーには、『自分起点』や『爆速アウトプット』という行動指針があるのですが、自分が「こうしたい」と発信すればすぐに反応が返ってきます。「じゃあこうしようよ」と議論が始まるんです。そういう文化なので、昨日と同じことを繰り返すというよりも、毎日違う物語があるという印象です。
私個人の変化としては、アウトプットの量がすごく増えました。前職ではマネージャーとして、組織で成果を出すことに注力していましたが、いまはひとりの主体者としてたくさん手を動かしています。自分自身でどんどん動ける環境なので、それがとても楽しいと感じています。
フルリモートで仕事をしていて、自分のアウトプットに対する反応をそこまで感じられるものでしょうか?
少なくとも私はすごく感じていますね。Slackのリアクションをつけてくれる人も多いですし、Notionに記事を書いても読んだら反応を示す文化があります。コメントもたくさんいただけるので、発信し甲斐があると思っています。
ルールが形骸化せず、文化として定着しているのはなぜだと思いますか?
経営陣が率先して実践しているからではないでしょうか。代表の逆瀬川も、COOの林も、いわゆる上位役職者の方々がコミュニケーションを大切にしていることが伝わってくるんです。だから社員も真似をしますし、それが積み重なって文化になっているのだと思います。
ありがとうございます。個人的に「今後はこういうことにチャレンジしていきたい」といった抱負はございますか?
私は長くCREの仕事をしてきたので、これからもCREという職種を魅力的なものにしていきたいと考えています。ヘンリーにおいては、CREの組織がいますぐ必要かというとそうではないかもしれません。でも、顧客満足度や信頼度を高めるために必要なことを見つけ、実践するといったCRE的な考え方は大切だと思っているので、みんなと一緒にそういう組織をつくっていきたいと考えています。
いま私は「導入設定ディレクター」という職種で、設定エンジニアチームのディレクションを担当しています。仕事をする中で「お客様からの信頼性ってなんだろう?」みたいなことをみんなが話していて、私にもいろいろと聞いてくれることがあります。私やCREの考え方に興味を持ってくれていることを、とてもうれしく感じています。
ヘンリーのプロダクトは医療機関のオペレーション効率を底上げするものです。私たちが仕事をがんばり、より多くの医療機関に満足していただくことで、この国の医療にポジティブな変化を生み出すことができたら素晴らしいなと思います。

最後に
転職を考えている方やキャリアについて悩んでいるという方に、何かメッセージをいただけますか。
エンジニアの世界ではリファラルが盛んなので、個人的なつながりを活かしてやりたい仕事や自分に合う環境を見つけている方は多いと思います。
ただ、私のように第三者の客観的な意見が欲しい場合は、エージェントの方に相談してみることをおすすめします。私は客観的な意見を求めたことで、結果的にいまの部署で楽しく仕事ができています。
自分ひとりで抱え込まず、エージェントの方の力も借りながら、キャリアの可能性を探っていけたらいいのではないでしょうか。
(本記事は、2026年2月に実施したインタビュー時点の内容であり、現在とは一部異なる場合があります)



