はじめに
学生時代は文系でプログラミング経験はなかったものの、ソフトウェア開発への純粋な興味でIT業界へ飛び込んだ小野寺様。10年間、Slerにて様々な開発プロジェクトの実務経験を積んだあと、フリーランスエンジニアとして活動を開始。ベンチャーやスタートアップを中心に、4年間で計6社の技術的支援をおこない、また、開発プロジェクトの傍ら、企業や学校で教壇に立ち、IT人材の育成にも注力されました。
その後、ソフトバンクへ入社。日本通運との共同出資会社設立に携わり、同社CTOに就任。4年間テック/プロダクト全般を牽引され、従業員数 5 → 100名超、サービスの累計導入企業数が2,000社に及ぶスケールを経験されたのち、出向解除の節目をもって退任。
退任後は同社で技術顧問をしながら、医療DXを展開するファストドクター社へ参画。エンジニアリングマネージャーという立場で、技術/人/組織/プロセスといった全般に向き合われました。3年間の在籍を経て、組織体制の大きな変化の節目をもって退任。
現在は、世界100カ国以上のノンデスクワーカーを支援するアルダグラム社にて、開発部の部長をされています。
転職前の状況
簡単に、前職での業務について教えていただけますか?
前職はファストドクター社でお世話になっていました。同社は、夜間休日、あるいは家庭的、身体的なご事情などから医療へのアクセスが困難な生活者のご不安に寄り添い、また一方で、医療従事者側のご負担にも寄り添うような医療の総合プラットフォームを提供しています。
参画当初は、基幹システムの開発チームにて「テックリード」という現場寄りの役割をいただき、最大で14名(3つのサブチーム)までスケールした開発チームを管掌させていただきました。
やがて人が増え、チームが増えるにつれて、マネジメントも期待されるようになり、当時は組織で唯一となるエンジニアリングマネージャーへと、役割をシフトしていきました。加えて、エンジニアリンググループ全体のグループ長もしており、技術・人・組織・プロセスといった全般に向き合い、奔走する毎日でした。
忙しくはあったものの、覚悟していたところでもあり、何より、今目の前で現実に困っている方々へ直接的に救いの手を差し伸べるような、手触り感のあるサービスでしたので、大きなやりがいと責任感の中で働いていました。

転職を考え始めたきっかけは何だったのでしょうか?
きっかけはふたつありました。ひとつは、ライフスタイルの変化です。2025年のはじめに次女が生まれ、長女も小学校へ進学するタイミングが重なり、仕事と家庭のバランスについて考えるようになりました。
当時関わっていたサービスは、夜間や休日など医療アクセス困難な時間帯に寄り添うようなサービスでした。その性質上、そして責任ある立場でもありましたので、常に一定の緊張感を持っていました。もちろんそのようなことは覚悟の上でしたし、仕事が好きな自分にとってはむしろやりがいでもありましたが、家族が増えたことで働き方を見直す意識が生まれました。
もうひとつのきっかけとして、良い節目が訪れたというか、組織体制に関して歴史的な大きな変更が発表されたタイミングでした。それはとてもポジティブな改革でしたが、自身のライフスタイルの変化も相まって、申し訳なさも残りつつ、ここを区切りにしようと決断しました。
転職活動について
転職を決めてから、まず最初に何をしたか覚えていらっしゃいますか?
以前からお付き合いのあったディプコアのエージェントさんへ「転職を考えているので相談にのって欲しい」と連絡をしました。実は、前職への転職をご支援してくださったのもその方でした。私にとって良い転職だったこともあり、転職エージェントとして信頼を寄せていたことから連絡をしました。
ただ、転職のきっかけが “環境の変化” でしかなかったため、自分の中で「次にこれがやりたい」という明確な軸がありませんでした。そのため、まずはエージェントさんとの活動を通じて、自分がやりたいことや働く上で大切にしたいことの解像度を上げていきたい気持ちがありました。
具体的に役に立ったサポートはありますか?
はい。働きながらの転職活動でしたので、日常業務と並行する難しさがある中で、随時きめ細やかなサポートをいただきました。レスポンスも早く丁寧で、気持ちの良いコミュニケーションができていたと思います。
最初丁寧にヒアリングいただき、幅広い業種・業態のエグゼクティブと引き合わせていただきました。プロとしてのアドバイスなどもいただきながら、わたし “ならでは” の軸のようなものを一緒に探ってくださいました。
最終的に辿り着いたのは、前々職の物流DXや、前職の医療DXで経験したような、よりレガシーで、労働集約的で、システム化が急務と業界的に認識はされながらも、なかなかテクノロジーの恩恵が行き届かないような、そんな業界課題へのチャレンジでした。寄り添いがいがあり、手触り感があり、大きな社会課題の解決という大義も感じられる。わたしはそういうところへ身を置きたい人間であると分かってきました。
特に、当時CTOとして関わっていた物流DX事業では、最終的にはうまくいかず、事業はクローズするに至りました。4年間必死に作り上げ守ってきたプロダクトも、最後はゴミ箱へ捨てなければならなかったときの悔しさ、サービスをいつも応援してくださっていたユーザー企業様への申し訳なさが、まだ全身に残っていると感じました。
「きっとそれが小野寺さんの軸ですね」と、その想いに沿えるような企業様をいくつかご紹介していただくようになり、その中のひとつが、現職のアルダグラムでした。
現在の状況
振り返ってみて、入社の決め手になったのはどのようなものでしょうか?
魅力に感じた点でしたら4つほどあります。
1つ目は「事業内容」です。アルダグラムが向き合うノンデスクワーカー向けの業界課題や、プロダクトの提供価値は、自分がかつて向き合っていた物流DX事業のときと似ていて、経験を活かして貢献できる要素があると感じました。また、早い段階からグローバルをターゲットにしているところも、ワクワクできたポイントでした。
2つ目に「開発組織と相性」。話をお伺いしていると面白い課題が山積していて、伸び代の大きさを感じられました。ここでも、経験を活かして貢献できる要素は多分にあるように思えました。このひとが一人いるだけで、組織にいくつもの良い流れが生まれたと言っていただけるような、そんなゲームチェンジャーになれればいいなと思っています。
3つ目は「開発組織以外とのコラボレーション性」です。これまで事業会社をいくつか経験した中で想うこととして、ユーザーに正しく価値が届いていくためには、各部門の連携がきちんと機能することが、とても大切だと思っています。開発組織の中のことは、責任として必ずなんとかする。しかしながら、それ以外の部門は専門外でもあり、力が及ばないところもありますので、そこに対して “もどかしさ” を感じることが過去にはありました。きっとこのような業界は、部門を超えて組織一丸とならなければ攻略できない業界です。そのため、開発組織と互いに背中を預け合えるような、良い意味でプレッシャーをかけ合えるような、そんな関係性を望んでいました。
アルダグラムの場合は、選考の段階でいろいろな部門の方にお会いする機会をいただき、皆さんが同じ方向を向いて、前のめりに戦っておられる印象を持ちました。課題はあるのでしょうが、一緒に戦える、戦いたいと、純粋に思うことができました。
最後は、月並みですが「いい人が多い」です。お会いした方々がみなさん柔らかいというか、人の意見を傾聴して、積極的に自分の意見を変えることができて、建設的な話し合いができるような方が多いため、働きやすさがあると感じました。

総じて相性のようなものを感じることができたため、入社を決断しました。
入社後にギャップを感じたことはありますか?
良い意味でのギャップとして、「技術的に優秀な方が多い」と思いました。
入社前には伺い知れなかった部分でしたが、入社後に実際にご一緒すると、頼もしい方が多く、タレントが揃っていて嬉しくなりました。開発部長として、開発組織のみなさんがより一層活き活きとパフォーマンスを発揮できるように、色々チャレンジしてみるつもりです。
また、実際に働いてみて、アルダグラムは「働き方のバランスが良い」と感じています。スタートアップなので、情熱をもって前のめりに闘う側面も大事かと思う一方、そんな中でも、公私のバランスをうまく取りながら働いている大人が多い印象です。経営者がそういうタイプだからなのかもしれないですが、家庭も仕事も大切にしようという社風を感じています。
どのようなときに仕事のやりがいを実感しますか?
実際に事業の成長や、ユーザー企業の業務効率化に寄与できていると感じられたとき、やりがいを感じられます。しかしそれ以外にも、もっと身近なひとたち、つまり社内の方々に喜んでもらえたときには、ダイレクトに嬉しいです。
開発組織の内側をつくることはもちろん、外側へもアプローチして、良いコラボレーションを生み出したいです。そのために、開発組織起点でうねりを起こし、テクノロジーの力で寄り添いながら、部門を超えて良い流れをつくることができればと思っています。
たとえば、社内のCS部門でサポートの質が向上したり、Sales部門で営業戦略の幅が広がったり、人事部門で採用が強化されたりと、社内の様々な活動を支援できたとき、シンプルに嬉しくて、やりがいを感じます。
今後、どのようなことに挑戦していきたいですか?
まずは、アルダグラムという会社が非連続な成長を遂げ、提供サービスの「KANNA」が世界中のノンデスクワーカーの救いとなるべく、真に事業へ寄り添える、強く柔軟な開発組織をつくっていきたいと思います。
私自身も変わり続けたいです。AIの進化によって、これまでに培ってきた技術やマネジメントの知見なんて、この先も通用する保証はありません。謙虚さを持って学び続け、少しずつでも成長していきたいです。
一方で、どれだけAIが発展し、テクノロジーが急速に進化しても、きっと変わらないものもある。たとえば、ノンデスクワーク業界は、仕事のツールや進め方は短期的に変わっていくかもしれません。しかしながら、人間が仕事に介在すること自体は、まだしばらく変わらないのではと思います。であれば、現場の解像度を高める努力を惜しまず、ユーザーファーストの視点をもち、テクノロジーの力で寄り添う姿勢を忘れないようにしたいと思っています。

最後に
転職を考えている方や、かつての自分と同じような悩みをお持ちの方にメッセージをお願いします。
キャリア形成においては、直線で考えるよりも、点の連続で描く、くらいの気持ちの方がよいかもしれません。直線だと、「これまでのキャリアが無駄にならないように」とか「次のキャリアに有利なことは何だろう」という、過去から未来への連続性を意識すると思います。
それもきっと大切なことだと思います。だけど実は、キャリアの線の延長からでは想像しにくいような「これがやってみたい」という湧き上がる気持ちがあるかもしれません。その「興味や関心」に正直に、丁寧に耳を傾けることが、自分らしいキャリアを築いていく上で大切な気がしています。
(本記事は、2025年12月に実施したインタビュー時点の内容であり、現在とは一部異なる場合があります)



