はじめに
株式会社エイチームで取締役を務め、子会社の代表も兼任されていた間瀬様。17年間の在籍期間を通じて、経営理念の浸透や新規事業の創出において数々の実績を残し、グループの成長を牽引する存在としてご活躍されていました。しかし、コロナ禍を機にご自身の強みと会社から求められることに少しずつ差を感じ始め、「自分らしく力を発揮できる環境」を求めて転職活動を開始されます。
ご自身なりの“軸”を決めて進めた転職活動でしたが、どうしても決めきれない状況に直面。そんな中、エージェントのサポートも受けながら意思決定し、2025年11月に株式会社ミダスキャピタルにご入社されています。
転職前の状況
前職での役割やミッションについて教えていただけますか?
エイチームの取締役、そして子会社の代表として仕事をしていました。グループに対して経営理念を浸透させ、共通の価値観に沿って会社を成長させていくことが私の役割でした。簡単に言えば、みんなのベクトルを揃え、現場と一緒になって売上と利益を拡大していくというミッションです。
個人的には、新しい事業をつくることに強みを持っていました。0→1で事業をつくるというよりも、1→10の過程で手にしたノウハウを他のグループ会社や事業に応用し、新しい競争力を創り出していくんです。素早く事業化を行い、あえてマーケットインのやり方で競合がひしめく市場に入っていき、組織の力を活かして勝ち切るというのが得意でした。
重要な役割を任され、成果も残されてきたと思います。転職を考え始めたきっかけは何だったのでしょうか?
簡単に言えば、会社のフェーズが変わったことだと思っています。フェーズに応じて会社から求められることも変わっていくと思いますが、これまでとは異なるミッションに対して自分の強みを出し切れていない感覚がありました。
具体的には、2020年にコロナ禍になったときに、いろんな事業で成長が鈍化しました。そこから事業を立て直す過程で、いろんな修羅場や土壇場、正念場を経験しました。普通であれば、事業の立て直しを通じてそれなりに成長を実感するものだと思います。しかし、私自身はほとんど成長を感じられませんでした。
というのも、立て直しの中で求められたのはコストの削減で、いかに切り詰めていくかということが中心でした。もちろんムダなコストは少ない方が良いですから、会社としては非常にまっとうな判断だと思います。ただ新たな投資も切らざるを得ず 、新しいチャレンジをする機会がどんどん少なくなっていきました。
私は周囲を巻き込み、盛り上げて、「前に!前に!」という感じで組織をリードすることが得意なのですが、当時求められたのは、ムダを削り、規律を守り、「しっかり守りを固めましょう」というリーダー像でした。私の強みから考えると真逆のことを求められていて、「らしくない自分」を演じる必要がありました。

苦手なことは少ない方が良いですし、自分自身を変化させていくことも大切です。長い間お世話になってきた会社でもあり、深い愛着もありますから、できる限りのことはやろうと数年は頑張りました。でも、苦手なことを必死に底上げするよりも、自分の強みを思い切り発揮して仕事がしたいと思うようになりました。最終的には、私ではなく守りを固めることが得意な人に任せた方が良いと考えました。
私は割と顔に出るタイプなので、一緒に仕事をしていたみんなの中には「間瀬さんは無理しているんじゃないか」と感じていた人もいたと思います。
また、責任ある立場だったので、みんなの模範でありたいという想いも持っていました。いつも、「うまくいかないことがあっても環境のせいにしてはいけない。自分に何ができるか考えよう。もしも反対をするなら代案を出そう」と言っていました。当時の私は言っていることとやっていることにギャップが出てしまい、自分でもその状態を気持ち悪く感じていました。最終的に、ギャップを感じながら仕事をすることが難しくなり、転職をして環境を変えようと決めました。
転職活動について
どのように転職活動を進めていったのでしょうか?
まずは情報収集をしようと思い、「カジュアル面談」で検索して、一番最初に表示されたハイクラス向けの転職支援サービスに登録しました。
間瀬様のご経歴だと、たくさんのスカウトが届いたのではないでしょうか?
初めて登録したので多いかどうかはわからないのですが、いろんなエージェントの方からスカウトをいただきました。最初の2週間くらいで、20社くらいとカジュアル面談をしたと思います。
前職には17年間お世話になっていたため、知らない世界がたくさんあるだろうと思い、先入観を持たず、まずは色々な方とお話をさせていただくことを重視していました。そして、カジュアル面談を通じて、20社を3社くらいに絞り込んでいきました。
絞り込む時のポイントは一点のみで、紹介いただく企業の経営者のことを知っているかどうかです。
エージェントの方からは「この会社はいかがですか?」と提案をいただくので、必ず「その会社の代表の方は、どんな方ですか?」と質問していました。他にも「会ったことはありますか?」とか「どんなことを大事にしている方ですか?」ということを確認していました。
というのも、代理人としてどれだけ深く企業のことを理解しているエージェントなのかを知りたかったからです。少し意地悪かもしれませんが、人事の現場の方としか会っていなくても「この会社のことは良く知っています」と言うエージェントの方もいらっしゃると思います。それ自体を良い・悪いと言うつもりはなく、支援をしていただくのであれば企業との濃いつながりをお持ちの方にお願いしたいというのが私の考えでした。
「この企業は間瀬さんにマッチしていると思いますよ」と提案いただく以上は、その精度の高さに期待すると思います。そのため、「なぜそう思うのか」を確認するために、いろいろと質問するようにしていました。
ディプコアの水野さんとの面談では、紹介いただく企業の解像度が非常に高いと感じました。代表の方や事業について深く知っていることはもちろん、その企業の息遣いを知っているというか、やり取りの中でそういうことを感じられたので、引き続きサポートをお願いしました。
紹介された企業の経営者のことを深く知りたいのは、なぜなのでしょうか?
転職活動をするにあたって、自分の中で優先順位を決めたんです。いくつかある条件の1番が「その会社のことを好きになれるか」でした。経営理念を踏まえて、その会社で一緒に何を目指していくのか。ここに共感できることが私にとっては最も重要で、考え方に共感できるかを判断するためにも、経営者について深く理解したいと思っていました。
ちなみに、優先順位の2番目は「そこで働く人たちに興味が持てるか」です。要は、仲良くなりたいと思えるかどうかで、相性のようなものだと思っています。会社の考え方に共感していても、一緒に働く方々と良い関係性が築けなければうまくいかないと思っています。そのため、ビジネスパーソンとして尊敬できるか、一緒に過ごしたいと思えるかは結構重視していました。
優先順位の3番目は条件面です。私にも生活がありますし、家族を養っていく必要があるので、お金も非常に重要な要素でした。自分の中ではこの3つを軸にして転職活動をしていたのですが、途中で新しい要素が加わり優先順位も変わったんです。
結論を先にお伝えすると、「自分の景色が変わるかどうか」が3番目に入り、条件面は4番目になりました。
なぜ変更が起きたのでしょうか?
私は事業会社で仕事をしてきて、事業責任者を経て子会社の代表をしていたので、やってきたのはずっと事業でした。普通であれば、同じように事業会社の責任者のポジションやベンチャー・スタートアップのCOO、それにグループ会社のCEOといった提案が来ると思っていました。つまり、企業が抱えている何かしらの課題に対して、私のこれまでの経験で解決できるのでは?という期待値でマッチングする方法です。
これが正攻法で、一般的な転職のあり方だと思っていたのですが、水野さんに提案いただいたミダスキャピタルの案件は少し違いました。企業支援という部署のディレクターのポジションで、ミダスキャピタルの投資先企業に対する経営層のヘッドハンティングや経営ボードのチーム力向上の支援などを行う仕事でした。
これまでの私のキャリアの延長線上にはないもので、仕事の中身はもちろん、一緒に働く人も含めて、根底から新しい体験ができる提案でした。できるかどうかはやってみないとわからないですが、40歳をすぎて新しい環境に挑戦する機会はなかなかないと思い、とてもワクワクしました。
そのとき、ミダスキャピタルも含めて5社から内定をいただいていました。そのうちの1社が私のことをとても評価してくださっていて、ミダスキャピタルの提示する年収を大きく上回っていたんです。
ミダスキャピタルもその会社も、優先順位の1と2はクリアしていました。であれば、条件面で決めることが合理的なのですが、私の中で何かが引っかかっていました。そこで、妻に相談したんです。「この会社とこの会社で迷っていて、どう思う?」と聞いてみたのですが、「ミダスキャピタルに行きたいんでしょ?」と言われました。
できるだけフラットに聞いたつもりでしたが、ミダスキャピタルのことを話す時の表情に出ていたのかもしれません。1番の優先順位である「その会社のことを好きになれるか」も、もうひとつの会社は100点だけど、ミダスキャピタルは200点みたいな表情で、妻に話していたようです。
そこから改めて自問しました。「優先順位1番も2番も、両方ともクリアしているけれどミダスキャピタルのほうがレベルが違う。でも、本当にそれだけ?条件の違いをひっくり返すほど魅力に感じていることは何だろう?何にそんなに惹かれているんだろう?」って。
その時に気がついたのは、「若い時の気持ちに戻れるかもしれない」ということでした。頑張った先に何があるかわからないけど、これまでとは違ういろんなことが経験できるかもしれない・・・そんなワクワク感をミダスキャピタルには感じていたのだと思います。
そこで初めて、新しいことに挑戦したい自分の気持ちに気づき、転職を通じて「自分の景色が変わるかどうか」を重視していることがわかりました。
裏返すとこれまでの経験を活かしにくい転職とも言えそうですが、不安はなかったのでしょうか?
不安はもちろんありました。でも、仕事をしていたらどうしても辛いことに直面しますよね。それはどんな業界のどんな仕事でも共通していると思うので、そこまで深刻に捉えていませんでした。
辛いことを乗り越えるにあたって、私は「自分が好きな会社のために」とか「一緒に働く人たちの期待を裏切りたくない」とか、そういうのが強く影響するタイプです。だから優先順位の1番と2番に置いているのですが、考え方に共感できる会社で相性の合う人たちと一緒に仕事ができれば、たとえ辛いことがあっても乗り越えられるとわかっていました。
妻からは「もしうまくいかなかったらしょうがないよ」と言ってもらいました。私も「仮に失敗したらまた次のチャレンジをすれば良い。これで人生が終わるわけじゃない」と、良い意味で開き直ることができました。
ご自身の考えが、しっかりと整理されたということですね。
そうですね。ただ、ひとつだけモヤモヤが残っていました。条件についてなのですが、ミダスキャピタルに多少なりとも検討してもらえるとありがたいことがあったんです。
ところが、これは私の性格的な部分かもしれないのですが、誰かとお金の話をするのがとても苦手なんです。その時はもうミダスキャピタルのことを好きになっているので、相手には嫌われたくない。だから、交渉をしてくるタイプだとか、「結局はお金なんですね」とか思われたくない。でも、検討してもらえたら本当に助かる。ところが自分からは切り出せない。どうしようかとずっと悩んでいました。

そこで、エージェントの方に相談しようと思い、連絡したのが水野さんです。21時半くらいに『少し話せたりしますか?今でも明日でも大丈夫なのですが』とメッセージを送りました。私からそんな連絡をしたことがなかったので察してくださったのだと思いますが、すぐに水野さんから電話がかかってきました。
電話口で「いまこんなことで悩んでいます」と気持ちを打ち明けたら、「それは悩んで当然だと思います」と言ってくれました。実は私が悩んでいた2社はどちらも水野さんからの紹介で、どのような条件が提示されているかも彼は知っていました。その上で、「間瀬さんのお気持ちを踏まえた上で、ミダスキャピタルと話してみます」と言ってくださいました。
その結果、企業との交渉で私がモヤモヤしていたことをすべてキレイにしてくださったんです。
そのときに、当たり前ですが「すごくありがたいな」と感じました。客観的に話を聞いてくださったこともそうですし、対応のスピードが早かったこともそうです。寄り添ってもらえているとすごく感じました。
そもそも水野さんに連絡しようと思ったのも、この人に相談すれば何かしら良いアドバイスがもらえるんじゃないかという期待感があったからです。これまでのやり取りにおいても、面接の前日にはリマインドの連絡をくださったり、面接後には「お疲れさまでした。現時点で何か気になることはありますか?」と電話をくださったり、いつも細やかな先回りをしてくださっていました。
相手によってやり方を変えていると思いますが、私に対しては近すぎず・遠すぎずという接し方で、個人的にはそれを心地良く感じていました。だから、自分の苦手な部分も素直に見せられたのだと思います。
水野さんに調整いただいたことでモヤモヤがクリアになり、優先順位すべてを高いレベルでクリアできたので、ミダスキャピタルに入社することを決めました。
【間瀬様の転職軸】
- 優先順位1:その会社のことを好きになれるか
- 優先順位2:そこで働く人たちに興味が持てるか
- 優先順位3:自分の景色が変わるか
- 優先順位4:条件面
現在の状況
悩んだ末に転職を決め、実際に仕事をしてみての感想を教えてください。
すごく楽しく仕事ができています。ミダスキャピタルは『世界に冠たる企業群を創る』というビジョンを掲げているのですが、私はこの『企業群』という言葉がとても好きなんです。
前職で子会社の経営をしていたときも、オープンイノベーションじゃないですが、他の会社を巻き込んで新しい価値を創ることに挑戦していました。外部の企業からも優秀な方をお呼びして、自分たちの仕事も全部お見せした上で、新しい何かを創り出すために一緒にチャレンジしていくという考えを大切にしていたんです。目的地に辿り着くための仲間は、別に自組織内だけじゃないと考えていたので、他の企業の方も交えて合宿をしたりしていました。
ミダスキャピタルも似たような考え方だと思うのですが、それをもっと大きな仕組みで実践しています。ファンドではあるのですが、一般的なファンドとは少し違うというか。投資先が全社IPOを目指すことと、半永久的に筆頭株主であり続けることをコミットしているので、形は違いますがグループ経営に近い印象を受けます。この仕組みが、本当に面白く素晴らしいと感じています。
また、一緒に仕事をする人たちもすごく魅力的です。コンサル出身やM&Aの専門家などいろんな方がいますが、これまで接してきた優秀なビジネスパーソンとは少し異なる印象を持っています。これは個人の考えですが、一部の優秀な方々には、ドライで個人主義的な印象を持つこともありました。しかし、ミダスキャピタルで一緒に仕事をしている人たちは、すごく仕事ができるのと同時に、とてもウェットというか、人間臭いところがあると感じています。
我々は相互扶助と呼んでいますが、すごい専門性や得意分野を持ちつつ、足りない部分があったら謙虚に認めて、素直にヘルプを出せるみたいな感じです。完璧な人間なんていないですが、お互いに補い合いながら、みんなで大きな成果を狙いにいくと言いますか、それが当たり前になっていることにも驚きました。
会社のバリューには『Give 家族のように仲間を想い、頼り助ける』と書かれています。大きな成果を出すためにはお互いに家族のように協力することが必要ですし、周囲からサポートしてもらうためにも自らがギバーでなければならない。私はこのバリューが大好きなのですが、ミダスキャピタルで働く人たちもみんながこれを体現しているのだと思います。
事前の想定とは違ったことなどはあるのでしょうか?
良い意味でのギャップなのですが、企業群というコンセプトや相互扶助のマインドが、投資先企業の経営陣にもしっかりと浸透していることには驚きました。同じ企業群の一員として、各社の経営陣を中心に仲間の状況を知る努力をしていますし、自分たちの現状を知ってもらうために情報発信をしています。そして、人材の交流やノウハウの交流を活発に行っています。各社の経営陣たちを中心にギバーであろうとしていることはもちろん、情報や人材、ノウハウがちゃんと回る仕組みがあり、それを運用できているのは本当にすごいことだと思います。
それを実現できている理由の一つが、代表の吉村にあると思っています。すごいことをやっているのに偉そうなそぶりはなく、いつも謙虚な姿勢です。どちらかと言えば声は小さく穏やかな口調で、誰に対しても敬語で話します。
先日、四半期に一度の総会がありました。冒頭の挨拶で吉村がマイクを持ったのですが、最初に出てきたのは新たにメンバーに加わった人たちの紹介と感謝の言葉でした。入社順に各自のフルネームを紹介し、「このみなさんが新たに仲間に加わってくれました。ありがとうございます」という挨拶でした。私も名前を呼んでいただきましたが、すごくうれしかったですし、「自分も謙虚な姿勢と周囲への感謝を大切にしよう」と改めて思いましたね。
今後、どのようなことに挑戦していきたいですか?
そうですね。投資先企業の仲間から、「間瀬さんのおかげでこんなに成長できたよ」と言ってもらえるように頑張りたいと思っています。これまでは自分で自分の会社を大きくしてきましたが、これからは外から投資先企業の成長を支援することになります。これまでとは異なる努力が必要になりますが、それでグループの成長に寄与することができれば本物になれる気がしています。
あとは、ミダスキャピタル全体の意思決定に関与し、インパクトが出せるようになりたいです。簡単ではないですし、足りないことだらけですけど、実現できたときのことを考えると非常にワクワクしますから、頑張っていきたいと思っています。
最後に
転職を考えている方や、大きな意思決定を前に悩んでいる方もいらっしゃると思います。何かメッセージがあればお願いします。
転職を検討するときの軸は人それぞれだと思いますが、個人的には役職やお金に縛られないことが大事だと考えています。もちろん、役職やお金が重要だという方もいらっしゃると思うので、あくまで個人的な意見ですが。
たとえば役職を求める場合は、その役職に就くことが目的ではなく、その役職に付いてくる権限の大きさや裁量の多さが魅力なのだと思います。役職にこだわりすぎると本当に大切にしたいことを取り逃してしまうかもしれません。
そのため、何を大切にしたいのかを自分の中で研ぎ澄ますことが重要だと思います。優先順位をつけ、なぜその順位になっているかを言語化する。このプロセスを繰り返すことで、大切にしたいことが明らかになっていくのではないでしょうか。

あとは、思い切って今の環境を飛び出してみることもポイントだと思います。何かの壁に直面していて停滞しているとか、「ちょっと苦しいな」と感じている時に、その悩みは今の環境で解消されるのかを考えてみる。すぐに具体的なアクションプランが出てくるのであれば、それをやってみたら良いと思います。プランが出てこない場合は、思い切って環境を変えたり、接する人を変えてみるのも一つの手です。
飛び出すまでは不安もありますが、いざ飛び出してみるとあとはもうやるしかないです。今の環境を変えるのが難しいと感じているのであれば、なおさら新しい挑戦をすることに意味があると思います。
(本記事は、2025年12月に実施したインタビュー時点の内容であり、現在とは一部異なる場合があります)



