営業には「営業の型」があるし、システム開発には「システム開発の型」があります。それではリーダーシップはどうでしょう?「リーダーシップの型」と調べてみても、出てくる分類はさまざまです。
ThinkD編集部がこれまでに取材してきた起業家やビジネスリーダーを振り返ってみると、リーダーシップには大きく2つの型があるように感じています。この取材ノートでは、それぞれの型の特徴、自分はどちらに近いのかを見分けるためのヒントを、実際の取材で出会ったリーダーの姿とともに紹介したいと思います。
「演者型」のリーダー:自ら先頭に立ち、熱量を伝播させる
演者型は、自分が先頭に立って組織を引っ張っていくタイプ。テレビ番組にたとえるなら、カメラの前に立つ役者やタレントにあたります。自分の言葉と熱量で人を惹きつけ、その熱を組織や市場へと伝播させていきます。
ThinkDの取材の中で特に「演者型」だと感じたのが、産直プラットフォーム『食べチョク』を運営するビビッドガーデンの秋元代表。気持ちのこもった発信を続け、組織や市場を突き動かしていく姿には、演者型ならではの力強さを感じました。
「企画型」のリーダー:企てと仕組みで組織を動かす
企画型は、横や後ろから組織を見守り、企てと仕組みで人を動かすタイプ。テレビ番組にたとえるなら、出演者ではなく番組そのものを設計する企画者やディレクターにあたります。前面に出るよりも、全体がうまく回る構造をつくることにエネルギーを注ぎます。
ThinkDの取材では、ヌーラボの橋本代表やOKANの沢木代表、すむたすの角代表に、企画型の印象を持ちました。派手さよりも、組織や事業の設計で着実に前へ進めていく芯の強さを感じました。
自分はどちらのタイプかを見分けるヒント
ひとつのヒントになるのが、エネルギーの源泉がどこにあるのかを考えること。
前に出て感情を込めて語ること、人を直接鼓舞すること。これらで力が湧くなら、演者型に近いでしょう。一方、全体が自然に回る仕組みを描くこと、人に問いを投げかけて何かを引き出すことに手応えを感じるなら、企画型に近いと思います。
たとえば「会議」を思い浮かべてみてください。自分が話している時間が長いか。それとも人の話を聞き、意見や考えを引き出している時間が長いか。「会議でどういう行動を取っているか」を振り返ってみると、傾向が見えてくると思います。
どちらが優れているわけではない
ポイントは、どちらの型が優れているという話ではないということ。取材を重ねて感じたのは、事業のフェーズや組織の規模によって、効く型が変わるということです。
立ち上げ期の0→1の局面では、不確実さの中で人を巻き込み、牽引していく演者型の高い熱量が効果的だと思います。一方で、組織が大きくなり、再現性や仕組みが必要になる局面では、企画型が活きてきます。
同じ起業家やビジネスリーダーが、フェーズに応じて両方の型を行き来しているように見えることも少なくありません。型は先天的に固定された資質ではなく、状況によって使い分けられるものなのかもしれません。
キャリアのヒントとして
リーダーシップに唯一の正解はありません。だからこそ、自分がどちらの型に近いのかを知っておくことは、チームの率い方やこれからのキャリアを考える上で、ひとつのヒントになるはずです。
(文:ThinkD編集長 山内 基)








